未曾有の大水害にどう備えるか
朝日新聞 2018年7月7日17時23分 倉敷・真備町で大規模冠水 川の土手で孤立「助けて」
7月に入り今日は七夕。
毎年この季節は雨が降りますが、今年は私のいる関西でも大変な自体があちこちで発生しました。
被災したすべての関係者の方にお悔やみ申し上げますと共に、亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈りします。
気象庁は7月9日に「兵制0年7月豪雨」と命名しましたが、死傷者が200人を超えるなど甚大な被害がありました。
「平成最悪の水害」と報道され、昭和にさかのぼっても1982年に300人近い死者・行方不明者を出した長崎大水害以降、最悪の被害だそうです。
大水害は起こるべくして起きる
今回の豪雨は西日本各地を襲ったが特に岡山県倉敷市、広島県呉市、愛媛県西予市などが河川の氾濫などで町が沈み、センセーショナルな映像がニュースなどで放映されたと思う。
特に広島県では県内だけで死者・行方不明者が100人を越えるなど大規模な被害があった。
今回の大水害の特徴は局地的でなく大規模な範囲で被害が広がったことが特徴だと思うが、そもそも水害はそこまで珍しいものなのだろうが。
私が記憶する限りでも去年平成29年7月に起こり、福岡・大分で大規模な被害が出た「九州北部豪雨」。
平成27年9月に起こり、鬼怒川が決壊し大規模な被害が出た「関東・東北豪雨」。
平成26年8月に起こり、丹波・福知山では床下浸水や土砂災害、広島では大規模な土砂災害が発生し多数の死者・行方不明者が出た「平成26年8月豪雨」。
とここ数年でも衝撃的な水害は多数発生している。
最後に紹介した平成26年8月豪雨はちょうど私が就職した年に起こったが豪雨災害であり、あの日は早々にJRが止まり、家まで帰れず会社で寝た思い出がある。
また、同じ兵庫県下の丹波市が大規模な土砂災害に被災したことからうちの会社からも何人かボランティアで救援に行っていた。
社会人なって改めて災害を身近に感じた出来事だった。
ちなみに私の住んでいる兵庫県で過去に起こった主な洪水記録を見てもこれだけある。
また、阪神地域では阪神・淡路大震災と並び語られる自然災害に「阪神大水害」がある。
昭和13年に発生したこの大水害は神戸・阪神間に大きな被害をもたらし、600名以上が無くなる大災害になった。
この災害以降、国主導のもと六甲山の砂防事業が開始され、多数の砂防ダムが六甲山に建設されることになる。
この水害は当時、住吉村(現神戸市東灘区)に住んでいた谷崎潤一郎の小説「細雪」にも、当時の水害の様子が描写されているが、現代においてこの未曽有の大水害を知っている人は少ないのではないだろうか?
今年はこの阪神大水害が起きてからちょうど80年に当たる。
最近私は毎年思う。
今年はどんな災害が起きるだろうか、と。
災害は決してどこか遠く、TVの中の向こうの世界でだけ起きていることではない。
次はあなたが様々な災害に被災するかもしれない。
ちなみにコレを書いているときにもグラっと地震が起きた。
7月豪雨でもう記憶が塗り替えられてしまったが、つい一月前には大阪北部地震が起き私もその揺れを嫌というほど実感した。
明日、ひと月後、1年後、どんな自然災害が起きるか現時点では誰もわからない。
だからこそ災害に備えることが必要なのだ。
あのときダムで何が起きていたか
前置きが長くなったが、今回のタイトルは「あのときダムで何が起こっていたか」。今回の豪雨でも様々な地域で治水のため、ダム操作が行われていた。
そんな中ダム放流のせいで下流域が被害にあったと批判されている地域がある。
それが愛媛県西予市「野村ダム」である。
日本経済新聞 2018/8/9 ダム放流を批判 初の住民説明会 愛媛・西予
8月9日には初の住民説明会が行われたが、参加者から野次が飛ぶ場面もあり、野村ダムの操作については住民の納得とは程遠いのが現状である。
ただ、今回の説明の中でもダムを管理する国交省担当からは「放流時間や規模を予測するのは実質的に不可能で、どの程度の地域が浸水するのか判断材料がない状況だった」と説明し、今回の災害は人災ではないと説明している。
上の映像はTVのインタビューを加工したものだが、ダムの放水で洪水になったと答える住民である。
当然放水はダムから行われたので洪水を起こした水はダムから来たと言ってもおかしくはないが、結局その水は降った雨水が溜まったものなので、ダムが無くても河川に流れるはずなのだが、間にダムという構造物があるとその感覚は薄れてしまうのかもしれない。
また、私は役場に知り合いがいるのだが、そこの職員ですら、
・「なんで雨が降る前にダムの水を抜いておかなかったんだ?」とか、
・「ダムに水を貯めるだけ貯めて一気に放流したらそりゃ危ないって」など、
言っているので驚いた。
基本的にダムなどの管理は広域行政である県や国が管理しているところがおおく、市町村の職員が直接関係することは少ない。
なのでダムが降雨時どのような操作をしているか知る機会がないと言ってしまえば話は早いのだが、最終的に現場で動くのは地元の行政職員なのでこのような理解不足は問題と言えば問題だと思う。
これはニュースとかでもよく出される図だが、橙色の部分が放流量、つまりダムから排出された水の量だが、真ん中あたりで一気に増えているのがわかる。
また、赤のラインがダムの貯水量だが、6日からずっと同じようなラインで水位し、7日を過ぎるとこちらも一気に増え、後は貯水量100%のまま推移している。
この図を見たら確かに、なぜ事前に貯水率を下げて置かなかったのか。
なぜ放水量を一気に増やしたのか、など疑問が出てくるだろう。
しかし、別の図を見ていたらその印象が大きく変わる
こちらは国交省のHPから取ってきた野村ダムの操作記録である。
全国のダムはこのように誰でもデータが見れるよう記録が開示されている。
これはリアルタイムでも同じで、当時も様々なダムにおいてネットの掲示板などで実況がされていたが、おそらくこのようなものが見えると知っている人は少ないだろう。
今回はこのグラフを使い、降雨時のダム操作が適切に行われていたか説明していきたい。
まずこのグラフの見方だが、青い線が「貯水位」つまり、ダムの水位でありこれが高くなるとダムが決壊する可能性がある。
降雨時にはダムの管理者はこの貯水位を細かく調整していくわけである。
緑の線は「全流入量」つまりダムにはいくつかの河川から水が流れ込んでいるが、その合計だ。
これはあくまでも流入量なので、これ以外にダムに直接降る降雨によりダムの水位は上昇する。
また、ダムに雨が降っていない場合でも上流で豪雨が降れば当然ダムへの流入量は増えるため、降雨状況を先読みしながら貯水位を調整していくことになる。
黒線は「全放流量」つまりダムから放水された水の量である。
今回はこの放水が一気に行われ、下流の町が沈んだとされるがなぜ一気に水を流す必要があったのか。
そこも含めて解説していこう。
まず、降雨時のダム操作としてはじめに行われるのがこの事前放流である。
気象レーダーなどで今後の降雨量を予測し、事前にダムの水位を下げておく操作がこの「事前放流」であり、今回「野村ダム」でも7月7日の豪雨のピーク前には貯水位を下げる操作がされていたことがわかる。
こちらは野村ダムの各種データだが「洪水貯留準備水位 166.2m」とある。
洪水貯留準備水位とは今後起こるであろう洪水期に備え、ダムの水位を通常水位より下げ、洪水に備える水位のことだ。
今回の場合、雨が本格的に降り出したのは7月5日の深夜だが、それよりはるか前から165mあった水位を徐々に減らしているのが分かる。
その水位は「洪水貯留準備水位 166.2m」よりも遥かに下の「166.09m」まで下げられており、ある意味マニュアル以上の過剰な操作を行っていたと言える。
このことからも先に書いた「なんで雨が降る前にダムの水を抜いておかなかったんだ?」という意見はナンセンスだろう。
もちろんもっと抜いておけばよかったんだという意見もあるだろうが、この野村ダムを含め多くのダムは「利水」目的で作られている。
夏のこの時期、灌漑用水が不足すれば周辺農家は大打撃を受けることになる。
もしかりに今回、予測を外れ雨が全然降らずに通り過ぎた場合、洪水貯留準備水位よりも数m水を多く排出したことになる。
このことで渇水が起きた場合、責任は当然ダムの管理者に行く。
「もっとダムの水を事前に抜いておけばよかったんだ」という意見もあるかもしれないが結局それは結果論に過ぎない。
彼らはマニュアルがある中、それでも今後起こる水害に備えできる限りの準備をこのときしていたと言えるのではないだろうか。
事前放流によって水位が下げられた後は、全流入量に合わせて全放流量を操作し、一定の水位を保つ。
しかし、全流入量が増加していき、マニュアルに規定されている全放流量をこれ以上上げれなくなったとき「洪水貯留操作」が行われる。
つまり、ダムの貯水が限界を向かえるまでここで水をせき止め、下流域を守る作業である。
今回は7月6日22時に「洪水貯留操作」が行われており、このときの全放流量は300㎥/s、つまり毎秒300トンの水が放水されていたということになる。
この状態では全流入量が全放流量をうわまるため、ダムの水位は徐々に増加していくが、このまま堪えることができれば、雨がやんだ後ダムの水を徐々に抜けばいいわけだ。
しかし、今回はこの後さらなる豪雨により、ダムの水位は「異常洪水時防災操作開始水位」まで上がることになる。
洪水貯留操作時において、水位上層がある程度であればダムは堪えきれる。
しかし、堪えきれないレベルまで来たら放流をするしか無い。
その水位が「異常洪水時防災操作開始水位」だ。
これはマニュアルに規定されている以上の水を放流する行為だが、そのとき必ず守らなければいけないのが「全流入量=全放流量」とすることである。
つまり、ダムに流れ込んできている流量分をそのままダムから流すことでダムの水位を一定に保つ行為であり、決してダムに流れ込んできている以上の水を放流することはできないのだ。
上のグラフを見ていただいたら分かる通り、全流入量の緑線と全放流量の黒線が重なっているのが分かるだろう。
降雨量がピークのときは全流入量も変化するため、完全に一致はされていないが、全放流量のグラフはピーク時でも全流入量を超えていないことは分かる。
つまり何がいいたいかと言うと、ダムが無くても結局全流入量分の水は下流に流れるわけで、ダムがあったから洪水貯留操作時に流入量が軽減でき、下流が水害にあるタイミングが調節出来ていたと言える。
また、この操作はダム管理を行っている現場事務所だけで判断することは出来ず、「ただし書き操作」という異常事態に対する対応となり、これを行う前には必ず関係機関に行う旨の通達を行い、現場事務所は管理者(都道府県知事など)に伺いをたて、許可が出た後に行うことになる。
そのため、現場事務所は今後の降雨量と全流入量を予測し、ダムが「異常洪水時防災操作開始水位」に達するであろう1時間前には決断し、管理者に報告する必要がある。
ただ、今回の説明の中でもダムを管理する国交省担当からは「放流時間や規模を予測するのは実質的に不可能で、どの程度の地域が浸水するのか判断材料がない状況だった」と説明し、今回の災害は人災ではないと説明している。
自治体職員ですらダムに対する理解は低い
今回私はこの件についてあれこれ詮索するつもりはないが、私がこの件を様々な人と話題にするたび、多くの人が勘違いあるいは思い違いをしている気がしてならない。上の映像はTVのインタビューを加工したものだが、ダムの放水で洪水になったと答える住民である。
当然放水はダムから行われたので洪水を起こした水はダムから来たと言ってもおかしくはないが、結局その水は降った雨水が溜まったものなので、ダムが無くても河川に流れるはずなのだが、間にダムという構造物があるとその感覚は薄れてしまうのかもしれない。
また、私は役場に知り合いがいるのだが、そこの職員ですら、
・「なんで雨が降る前にダムの水を抜いておかなかったんだ?」とか、
・「ダムに水を貯めるだけ貯めて一気に放流したらそりゃ危ないって」など、
言っているので驚いた。
基本的にダムなどの管理は広域行政である県や国が管理しているところがおおく、市町村の職員が直接関係することは少ない。
なのでダムが降雨時どのような操作をしているか知る機会がないと言ってしまえば話は早いのだが、最終的に現場で動くのは地元の行政職員なのでこのような理解不足は問題と言えば問題だと思う。
これはニュースとかでもよく出される図だが、橙色の部分が放流量、つまりダムから排出された水の量だが、真ん中あたりで一気に増えているのがわかる。
また、赤のラインがダムの貯水量だが、6日からずっと同じようなラインで水位し、7日を過ぎるとこちらも一気に増え、後は貯水量100%のまま推移している。
この図を見たら確かに、なぜ事前に貯水率を下げて置かなかったのか。
なぜ放水量を一気に増やしたのか、など疑問が出てくるだろう。
しかし、別の図を見ていたらその印象が大きく変わる
降雨時のダム操作について
全国のダムはこのように誰でもデータが見れるよう記録が開示されている。
これはリアルタイムでも同じで、当時も様々なダムにおいてネットの掲示板などで実況がされていたが、おそらくこのようなものが見えると知っている人は少ないだろう。
今回はこのグラフを使い、降雨時のダム操作が適切に行われていたか説明していきたい。
まずこのグラフの見方だが、青い線が「貯水位」つまり、ダムの水位でありこれが高くなるとダムが決壊する可能性がある。
降雨時にはダムの管理者はこの貯水位を細かく調整していくわけである。
緑の線は「全流入量」つまりダムにはいくつかの河川から水が流れ込んでいるが、その合計だ。
これはあくまでも流入量なので、これ以外にダムに直接降る降雨によりダムの水位は上昇する。
また、ダムに雨が降っていない場合でも上流で豪雨が降れば当然ダムへの流入量は増えるため、降雨状況を先読みしながら貯水位を調整していくことになる。
黒線は「全放流量」つまりダムから放水された水の量である。
今回はこの放水が一気に行われ、下流の町が沈んだとされるがなぜ一気に水を流す必要があったのか。
そこも含めて解説していこう。
事前放流
まず、降雨時のダム操作としてはじめに行われるのがこの事前放流である。
気象レーダーなどで今後の降雨量を予測し、事前にダムの水位を下げておく操作がこの「事前放流」であり、今回「野村ダム」でも7月7日の豪雨のピーク前には貯水位を下げる操作がされていたことがわかる。
こちらは野村ダムの各種データだが「洪水貯留準備水位 166.2m」とある。
洪水貯留準備水位とは今後起こるであろう洪水期に備え、ダムの水位を通常水位より下げ、洪水に備える水位のことだ。
今回の場合、雨が本格的に降り出したのは7月5日の深夜だが、それよりはるか前から165mあった水位を徐々に減らしているのが分かる。
その水位は「洪水貯留準備水位 166.2m」よりも遥かに下の「166.09m」まで下げられており、ある意味マニュアル以上の過剰な操作を行っていたと言える。
このことからも先に書いた「なんで雨が降る前にダムの水を抜いておかなかったんだ?」という意見はナンセンスだろう。
もちろんもっと抜いておけばよかったんだという意見もあるだろうが、この野村ダムを含め多くのダムは「利水」目的で作られている。
夏のこの時期、灌漑用水が不足すれば周辺農家は大打撃を受けることになる。
もしかりに今回、予測を外れ雨が全然降らずに通り過ぎた場合、洪水貯留準備水位よりも数m水を多く排出したことになる。
このことで渇水が起きた場合、責任は当然ダムの管理者に行く。
「もっとダムの水を事前に抜いておけばよかったんだ」という意見もあるかもしれないが結局それは結果論に過ぎない。
彼らはマニュアルがある中、それでも今後起こる水害に備えできる限りの準備をこのときしていたと言えるのではないだろうか。
洪水貯留操作
事前放流によって水位が下げられた後は、全流入量に合わせて全放流量を操作し、一定の水位を保つ。
しかし、全流入量が増加していき、マニュアルに規定されている全放流量をこれ以上上げれなくなったとき「洪水貯留操作」が行われる。
つまり、ダムの貯水が限界を向かえるまでここで水をせき止め、下流域を守る作業である。
今回は7月6日22時に「洪水貯留操作」が行われており、このときの全放流量は300㎥/s、つまり毎秒300トンの水が放水されていたということになる。
この状態では全流入量が全放流量をうわまるため、ダムの水位は徐々に増加していくが、このまま堪えることができれば、雨がやんだ後ダムの水を徐々に抜けばいいわけだ。
しかし、今回はこの後さらなる豪雨により、ダムの水位は「異常洪水時防災操作開始水位」まで上がることになる。
ただし書き操作(異常洪水時防災操作)
洪水貯留操作時において、水位上層がある程度であればダムは堪えきれる。
しかし、堪えきれないレベルまで来たら放流をするしか無い。
その水位が「異常洪水時防災操作開始水位」だ。
これはマニュアルに規定されている以上の水を放流する行為だが、そのとき必ず守らなければいけないのが「全流入量=全放流量」とすることである。
つまり、ダムに流れ込んできている流量分をそのままダムから流すことでダムの水位を一定に保つ行為であり、決してダムに流れ込んできている以上の水を放流することはできないのだ。
上のグラフを見ていただいたら分かる通り、全流入量の緑線と全放流量の黒線が重なっているのが分かるだろう。
降雨量がピークのときは全流入量も変化するため、完全に一致はされていないが、全放流量のグラフはピーク時でも全流入量を超えていないことは分かる。
つまり何がいいたいかと言うと、ダムが無くても結局全流入量分の水は下流に流れるわけで、ダムがあったから洪水貯留操作時に流入量が軽減でき、下流が水害にあるタイミングが調節出来ていたと言える。
また、この操作はダム管理を行っている現場事務所だけで判断することは出来ず、「ただし書き操作」という異常事態に対する対応となり、これを行う前には必ず関係機関に行う旨の通達を行い、現場事務所は管理者(都道府県知事など)に伺いをたて、許可が出た後に行うことになる。
そのため、現場事務所は今後の降雨量と全流入量を予測し、ダムが「異常洪水時防災操作開始水位」に達するであろう1時間前には決断し、管理者に報告する必要がある。
フジテレビ 愛媛県西予市の9人死亡はダム放流のせい!? 情報はきちんと伝わっていたのか徹底検証
そしてその後、防災無線や消防団が注意喚起を行い実際に放流されたのは午前5時20分となっている。
1時間ほど前に各機関に連絡入っていたので、ダム管理事務所の落ち度は無いと言える。
ここまで見ていただいた方なら先に書いた、
・「なんで雨が降る前にダムの水を抜いておかなかったんだ?」とか、
・「ダムに水を貯めるだけ貯めて一気に放流したらそりゃ危ないって」
という意見が全くの見当違いだったことがおわかりになるだろう。
実際上の表を出したフジテレビの「せーの!グッディ!」の番組でも
後藤「ダム上部にある構造物が損傷を受ければ、その後機能を戻すまでに時間がかかるという問題も出てきますし、最悪の場合には構造物自体が下流部に流れ、もっと大きな被害を出すということは十二分に予想ができます。今回のダム放流はやむを得なかったものと思いますね」
という結論に至っている。
なぜ死者が多数出る事態になったのか
しかし、実際に死者は出た。
一体何が原因だったのだろうか。
一番の原因は行政・住民ともに危機管理が適切に行われていなかったのでは無いかと私は思う。
これも結果論に過ぎないが、ダムの放流時ほんとに今回の周知方法が適切だったのか、市が避難指示を出すタイミングはアレで良かったのか。
そういった防災に対する危機管理については、今回の災害を契機に考えていくべき課題だと思う。
そもそも災害というのは別に国や県など行政だけが対策すべき事柄でなく、我々住民ひとりひとりが意識し取り組み事柄なのだ。
皆さんは本来の「注意報」「警報」「特別警報」の意味をご存知だろうか?
本来、注意報であっても住民の対応としては「高齢者や乳幼児らは避難する」とある。
そして警報の際は「避難をする」だ。
もちろん、それは市町村など自治体が行う「避難準備・高齢者等避難開始」の指示があってから動くという人も多いと思うが、皆さんは注意報のときもちゃんと行政の指示をチェックしてるだろうか?
先に紹介したフジテレビの「せーの!グッディ!」の番組ではこう締めくくられている。
木村「今回は、放流することや避難指示を、どう伝えて、どう受け取ったかという問題ですよね。緊急地震速報と同じことを、がけ崩れや大雨、津波などでもすべきなんですよ。技術的にはできるはずです」
安藤「なるほど。緊急地震速報のように、反射的に行動に移すような警告の仕方というのを、考える必要があるのかもしれませんね」
後藤氏「そういったことも大事ですし、どこの被災地の方も“まさかこんなことが起こるとは”って口々に言われるんですよね。自分が住んでいるところにどういったリスクがあるのか、平時からしっかり学んで、過去にあった経験を受け継いでいくことが、私はとても大事なことではないかと思います」
”まさかこんなことが起こるとは”、災害や事故はいつも突然起こるものだ。
そういった物を他人行儀に扱わず、常に自分の身の回りにあるものと自覚し、対策を考えておくことが必要なのではないだろうか。
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