大雨の被害がこんなところまで・・・
昼食のあと訪れたのが豊岡市で古くから景勝地として有名だった玄武洞。
ですが、付いてみたらビックリ!?
玄武洞の駐車場前の道が陥没していました。
おそらく去年の大雨の影響でしょうね。
近くには円山川が流れていますが、これも水面がすぐそこなので氾濫したら怖そう・・・。
自然の驚異ってほんと恐ろしいですね。
気を取り直して、玄武洞の方へ向かいます。
駐車場に車を止めて、東側の階段を登っていけば玄武洞へ行くことができます。
こちらは山陰海岸ジオパークに指定されているみたいですね。
まだあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、ジオパークとは「地球・大地(ジオ)」+「公園(パーク)」を組み合わせた言葉で、「大地の公園」を意味します。
ようは地球(ジオ)を学び、丸ごと楽しむことが出来る自然地形などを「ジオパーク」として指定することによって、学習や観光活動などに活かしていこうという取り組みですね。
山陰の海岸はほとんどが国立公園に指定されており、京都府・兵庫県・鳥取県にかけての海岸沿いが山陰海岸ジオパークに指定されております。
また、島根は島根半島・宍道湖中海ジオパークから隠岐ジオパークなどあり、山陰地方って結構地質的見どころが多いんですよ。
また、この山陰海岸ジオパークや隠岐ジオパークは世界ユネスコジオパークにも指定されており、ぜひとも見に行ってもらいたいポイントですね。
そしてこれが玄武洞!!
いやーこれは見事!!
約160万年前に噴出したマグマが冷却されできた地形で、その後河川の侵食によって玄武岩塊が露出し、石材として切り出しやすかったため採掘されていきこの洞窟はできました。
ええそうです。
玄武洞と言いますが、この洞窟は石材確保のために人が掘ったものです。
ちなみにこの石に入った割れ目は「節理」と呼ばれ、柱のように縦割れの節理を「柱状節理」、板のように横割れの節理を「板状節理」と呼びます。
まるでレンガを積み上げたような不思議な地形。
これも地球が作り出した芸術作品なんですねえ。
人はまばらなので、思いっきり楽しむことができます。
玄武洞の上には植栽が生い茂っているのですが、平坦でなく歪曲した地形に生えているため、まるでこの植物たちも大きな力によって捻じ曲げられているような錯覚を受けます。
続いて青龍洞の方に向かいます。
ここにある洞窟はいずれも名前がつけられており、最初に見たのが「玄武洞」。
そしてその南側にあるのが「青龍洞」。
とくればあと何があるかお分かりでしょうね。
玄武洞の北側には「白虎洞」と「朱雀洞」があります。
そしてこれが青龍洞。
まるで龍が体をうねらせるようにできた長い柱状節理が特徴的な地形です。
玄武岩は英語名basalt(バサルト)といいますが、和名が玄武岩となったのは日本の地質学者「小藤文次郎」が、玄武洞にちなんで命名したものです。
玄武洞を構成する岩石だから「玄武岩」ってことですよね。
でも私思いました。
ここには玄武洞以外にも青龍洞や白虎洞があるじゃないですか。
なら玄武岩じゃなく青龍岩や白虎岩とかになった可能性もあったのでは?と。
まぁ、玄武岩ってすごくしっくりくるのでナイス命名だと思います。
また、この玄武洞は地質に関する世界的な大発見があった地としても有名なのですが、それはまた後で紹介しますね。
青龍洞には池があり、中には大きなヌマエビなんかが泳いでいました。
何匹か持って返って飼いたかったのですが、さすがにそれは怒られるでしょうからここは我慢。
池の中には柱状節理を利用した灯籠なんかが立っております。
そしてこれもまた、分かりやすいようにでしょうか?
柱状節理をカットして断面を見せてくれているモニュメントが。
見ての通り、柱状節理は四角形でなく六角形を示しております。
面白いですよね。
そして白虎洞、朱雀洞の方に向かいますか。
一度、玄武洞の方に戻り、それを横切って北側へと進みます。
一見して石積擁壁のようなこれはじっくり見るとコンクリート擁壁に化粧石張りを施して、石積擁壁のように見せているっぽいです。
ですが、こういう景観的配慮はいいですよね。
ただの打ちっぱなしのコンクリート擁壁がこんなところにあったら、殺風景でしかありませんから。
きれいに整備された石畳の道を歩いていき、白虎洞の方へと向かいます。
白虎洞は先の二つと比べると小ぶりです。
斜めに生えた柱状節理が特徴的ですね。
そしてこちらが南朱雀洞。
はやり地形的に一番ダイナミックなのが玄武洞なので、玄武岩が青龍洞や白虎洞になることはなさそうですね。
最後に北朱雀洞を見て終わりです。
柱状節理の断面がよく見えますね。
きれいな六角柱が並んでおります。
その柱状節理ですが、道の傍の擁壁なんかにも使われていたりします。
見る時間自体は短いですが、とても魅力的な景勝地だと思います。
そして駐車場まで帰ってきたら、この気になる建物に入ってみましょう。
パッと見お土産屋っぽかったのですが、もう片方はどうやら違う建物みたいです。
川へ抜ける小道の傍にはこんなものがおいてあります。
これただの岩じゃないんです。
じつはこれ化石化した木、所謂「珪化木」というものなんです。
こんなものをポンとモニュメントとしてそのへんに置いてある辺り、中々やりますね。
多分ほとんどの人はなにこれ?と思うことでしょう。
お土産屋の対面にある建物はどうやら「玄武洞ミュージアム」という博物館みたいです。
建物もきれいですし、最近できたようですね。
このロゴがそのままここの建物の配置を示しているのでしょう。
上の六角形二つがミュージアム。
そしてアーチ状の渡り廊下を下って、下の六角柱3つがショップになっているみたいです。
こうやってみるとなかなか面白い作りをした建物ですね。
さて中は一体どんなものが展示しているやら・・・。
入館料の高さ(大人 800円)に少々驚きながら、中にはいるとまず飛び込んできたのが石の料理!!
皿の上に乗っているのは全部岩石です。
なるほど・・・こういうミュージアムなのね。
1階には玄武洞にまつわる展示がしてありました。
ちなみにこれは、先程この土地で地質に関する世界的な大発見があったといいましたが、それにまつわる装置です。
今となっては当たり前の話だと思うのですが、磁石が指すN極とS極が逆転する現象、いわゆる「地磁気の逆転」が発見されたのがここの玄武岩なんですよ!!
え?なにそれ?知らない?
では詳しく話していきましょう。
現在では磁石は北をN極が、南をS極が指すと思います。
てか北を指すからN(NORTH)極、南を指すからS(SOUTH)極と呼んでいるんでしょうけど、実はこの地磁気昔は真逆を指していたんです。
ようはN極が南を指し、S極が北を指す。
そんなバカな?!って思う人もいますよね。
そりゃもう当時も何いってんだこいつ扱いでした。
京都大学名誉教授で山口大学初代学長を努めた松山基範(まつやまもとのり)。
彼は地質分野でさまざまな功績を残していますが、1番大きな発見は1929年(昭和4年)に発表された「地球磁場の反転説」でしょう。
当時の世界の学会はこの学説を無視していましたが、戦後1950年代にイギリスを中心として古地磁気学が大きく発展し、松山の学説も見直されその正当性が広く認められることとなりました。
その「地球磁場の反転説」を唱えるとき、研究されたのがこの玄武洞の玄武岩で、上にある地磁気測定器を使用し、石の中の微力な磁力を測定することで260年前から78万年前にかけては、地磁気が逆転していることを発見したんですよね。
そんな大発見が合った場所なのに、展示スペースとしてはすごく小さい。
そしてなぜか象の化石があったり、
石でできた造形品を展示していたりします。
まぁこれはこれで面白いのですが、わざわざこの玄武洞ミュージアムで展示するべき内容かしら?と思います。
桃の実も葉っぱも全部石なのですが、これはもっとこう、別の場所で展示したらいいのに。
さらに上に上がると”玄武洞”ミュージアムとはなんだったのかと思わされます。
世界中から集めた宝石の原石がところせましと飾ってあったり。
なぜか魚や恐竜の化石が展示されていたりするのです。
別にこれを玄武洞ミュージアム出する必要ないでしょう・・・って思います。
せっかく、いい入れ物作ったんだから中身も厳選し、この山陰海岸ジオパークを広く周知するよう活動してくれよ・・・とうのが正直な感想。
そりゃ地質の話ばかりを展示しても面白くない、子供は恐竜の化石が好きだろっていうのもわからなくはないですけど・・・。
これじゃここに来たって地元のこと全然わかりません。
なぜこの玄武洞ができたのか。
円山川がどのような地形を産み出し、それにより豊岡市がどのような歴史を歩んできたのか。
そういった背景をきっちり抑え、地質の素晴らしさや地元の素晴らしさを説いてほしいんですけどね。
最初入館料が800円って聞いたとき驚いたのは、施設も小さいし玄武洞だけの展示でなぜそこまで入館料が高いの?!って思ったからなんです。
ですが、中の宝石の原石やら化石見て、あーこれは入館料上がるわと思いましたが、別にそこに金かけなくていいやろと。
まだ、できて間もない建物っぽいですし、こんな展示物集めればどこでもできるような博物館でなく、玄武洞の眼の前だからこそできる唯一無二の博物館を目指して頑張っていってもらいたいですね。
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