安心の純国産レンズ コシナ・フォクトレンダー
皆さんはVoigtlander(フォクトレンダー)というカメラメーカーをご存知だろうか?
最近カメラを始めた人には聞き馴染みのないブランドかもしれないが、これでも1756年オーストリアのウィーンに創業し、その後ドイツのブラウンシュヴァイクに移転しカメラやレンズなどの生産を手掛けた老舗の光学機器メーカーである。
元々は大学からの注文による顕微鏡レンズや望遠鏡などを手工業で生産していたが、1823年に発売した世界初のオペラグラスが国際的な大ヒット商品となり、英語で「フォクトレンダー」がオペラグラスの代名詞として使用されるまでに発展させた。
カメラ用レンズとしてはSkopar(スコパー)、Heliar(ヘリアー)、ULTRON(ウルトロン)、NOKTON(ノクトン)などの銘柄があり、カメラ本体としてはBessa(ベッサ)などのシリーズを手掛けた。
そんなフォクトレンダーだが、第2次世界大戦以降日本製の安価なカメラに押されるようになり1956年にカールツァイス財団に売り渡されることとなる。
その後、フォクトレンダーの商標権はローライに移譲されたが、そのローライも1981年に倒産するとフォクトレンダーの商標権は様々な会社を渡り歩くことになる。
そんな中、1999年日本のメーカーがフォクトレンダーの商標権の通常使用権の許諾を受けるべく手を上げた。
それが長野県中野市に本拠地を持つ民生用光学機器メーカー「株式会社コシナ」である。
昭和34年創業、元々はニコンやミノルタなど大手光学機器メーカーのレンズ研磨など下請け工場としてスタートした比較的新しいメーカーなのだが、その後事業を拡大。
レンズの研磨だけでなく、レンズの枠の金物加工や組み立てなど経て、他メーカーのレンズのOEM供給までするに至った。
また、カメラ本体の製造も手がけ、コンパクトフィルムカメラや一眼レフカメラなども製造していたが、1999年にフォクトレンダーの商標権を取得すると、レンジファインダーカメラ「Bessa(ベッサ)」などを製造、販売することとなる。
また、フォクトレンダーの銘でライカMマウント用の各種交換レンズ群を発売。
今ではカールツァイスと提携し、カールツァイスブランドのレンズも製造している。
最高品質のモノづくりを目指し、製品の企画・設計から生産まで、国内一貫生産で完結。
とまぁ、ザクッとコシナ・フォクトレンダーブランドの紹介をさせていただいたが、今回ライカMマウント用のレンズを選んでく中で否が応でも目にとまるのがこのコシナのレンズである。
なんせ、今でもMマウント用のレンズを新製品として売り出している数少ないメーカーだ。
しかも、そのレンズは純国産。
レンズ本体の作りはもちろんのこと、その写りもコスパ最高と噂されている。
今回はそんなコシナ フォクトレンダーのレンズを紹介していこう。
Voigtländer ULTRON 21mm F1.8 Aspherical
今回購入したのはフォクトレンダー「ULTRON 21mm F1.8 Aspherical」だ。
ULTRONはフォクトレンダーブランドで発売されているレンズの中でF2前後の明るさをもつレンズである。
ライカ純正では21mmの焦点距離のレンズは現行で
- スーパー・エルマー M f3.4/21mm ASPH.
- ズミルックス M f1.4/21mm ASPH.
の2本がある。
3つの焦点距離を自由に入れ替えれるトリ・エルマーを含めたらもう1本あるが、単焦点レンズというくくりで考えるとスーパー・エルマーとズミルックスだけだ。
スーパー・エルマーは開放F値がF3.4とあまり明るくないレンズで、旧型のエルマリート M 21mm F2.8と比べると逆に暗くなっている。
ズミルックスはF1.4をもつ21mmレンズでその差は歴然。
ただし値段の差も歴然で、スーパー・エルマーが定価34万円程度なのに対し、ズミルックスは定価90万円程度。
3倍程度の開きがあるのだ(F値も3段程度の差があるが・・・)。
一方、それらのレンズのちょうど真ん中のF値を持つのがこの「ULTRON 21mm F1.8 Aspherical」だ。
ズミルックスほど明るくはないが、F1.8というのは十分使えるレベル。
また、値段も定価12万円程度とスーパー・エルマーの1/3程度だ。
かなりコスパが良いのが分かるだろう。
ただ大口径なためレンズの重量はちょっと重め。
スーパー・エルマーが重さ279gなのに対し、ULTRON 21mm F1.8は412gと1.5倍程度重い。
手に取るとズッシリとした重量感を感じることが出来る。
ただそれでも一眼レフなどの単焦点レンズよりかなりコンパクト。
鞄の隙間にスッと入るため、持ち運びには何の苦労もいらない。
フードは固定式だ。
絞りリングもクリック感があり操作していて気持ちがいい。
黒の鏡胴に赤のft表記もいいアクセントになっている。
安心の日本製。
鏡胴の質感も申し分なく、フォーカスリングも実にスムースな動き。
コシナのレンズを使うのは初めてだが、改めてその精度に感心した。
ただ、せっかくなんでNOKTON 21mm F1.4といったライカ純正に対抗し得る性能で新しく出してほしいものだ。
NOKTONには50mm F1.1といった超弩級大口径レンズや35mm F1.2など世界一明るい35mmレンズのラインアップがあったりする。
安くてお手頃なのもコシナレンズの利点だが、純正に負けず劣らずの性能を手に届く範囲で出してくれるのもコシナレンズの強みだと思う。
ぜひ、50mm F0.95のライカマウント用レンズや21mm F1.4の大口径レンズも心待ちにしたい。
フィルターは58mmのものが使用できる。
やはり前玉の傷を気にするなら保護フィルターは必須。
ただ、固定フードのため装着が難しい。
最初は薄型の物を買って装着しようと思ったが、逆に薄型だと取り外しが困難だと感じ通常の厚みのものを別のレンズから失敬して装着した。
PLフィルターなどは操作性が悪そうだ。
ライカ純正レンズも当然手に入れる予定だが、その前に届いたこれでしばらくは撮影していこう。
さて、コシナレンズはどんな写りをするのか。
今から楽しみだ。
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