いざ、天守の中へ!
さて、いよいよ天守の中に入っていこうと思います
その前にちょっとお城の勉強を。
日本の城は様々な形があるわけですが、その造りからいくつかの構造に分けることが出来ます。
まずは平面構成ですが、天守と附属建物によって、
- 独立式:天守が単独で建っているもの。おもに層塔型天守に多い。櫓や小天守が付属しているが、直接天守に出入り口があるものも独立式とみなすこともある[17]。徳川大坂城、丸岡城、宇和島城などに用例がある。
- 複合式:天守に付櫓を直接接続するもの。が代表例。付櫓を接続することで、敵を攻撃できる場所を増やすとともに、天守への入口となることも多い。彦根城、松江城、岡山城、萩城などに用例がある。
- 連立式:天守から渡り廊下や多聞櫓を小天守や櫓に渡したもの。名古屋城のように、渡櫓のかわりに土塀で挟まれた土橋となっているものもある。熊本城、八代城、福知山城などに用例がある。
- 連結式:複数の小天守や櫓と天守を渡櫓などで環状につなげたもの。姫路城が代表例。最も複雑かつ防備が厳重な形式で、天守への入口が建物に囲まれた中庭になるため、敵兵を四方から攻撃できるようになる。姫路城、松山城、高取城、和歌山城などに用例がある。
などがあります。
また、上記を組み合わせた「複合連結式(熊本城、松本城など)」や「複連結式(広島城など)」もあります。
また、天守の形式として、
「望楼型」と「層塔型」に分かれます。
さて、上記のことを考慮し松江城の天守を見てみますと「複合式」の「望楼型天守」ということが分かります。
城を見るときこういうことも知っておくだけで、あの城とあの城はお仲間!ってことが分かって楽しいかも。
お勉強はこの辺にして実際に入っていきましょう。
まず、天守に入る玄関口であり、敵を撃退するための場所でもある「付櫓(つけやぐら)」。
ここで係員の人にチケットを渡し、天守の中へと入っていきます。
ここは最後の防衛拠点ですからね。
入り口から90度に曲がった階段を登って奥へと進むわけですが、入ってすぐ階段を設けないのも防衛のためなんですね。
そして付櫓の上層はこんな感じの広場になっております。
鉄砲狭間の名前通り、ここから鉄砲を構えて、城に迫りくる敵を撃退するわけです。
まぁ、天守のすぐそこまで敵が迫っていたら、その時点でほぼ敗北な気がしますが、徳川家康が天下統一後、江戸時代になってから出来た城なのにいかに実践的、ストイックに作っていることが分かると思います。
付櫓の奥に行くと地下室があり、そこには現存の城では珍しい井戸が設置されています。
人が生きる上で水はなくてはなりませんからね。
兵糧攻めにあったとしても最後の最後まで戦い抜けるよう、天守内に井戸を設けた既存天守は珍しいんだとか。
そしてこちらは石落とし。
石だって立派な武器です。
ボウリング球くらいの石が数m上から落ちてきただけで、下の人はひとたまりはありませんからね。
ですが、そんな実践を松江城は一度も経験せずに現在に至ります。
平和が何よりですね。
そして石打棚というこれもまた石を的に打ち付ける場所を抜けて地下室へと向かいます。
こちらが地下室。
修復用の予備の瓦でしょうか?
橋の方には瓦が積まれています。
いざという時はこれも投げつけて武器になりそうですね。
そしてここには旧鯱が保存されています。
昭和の解体修理工事の際、鯱は再利用せずに新調されることとなりました。
現存する木造の鯱では日本最大のものとなります。
そしてこちらが井戸になります。
したを除くとお賽銭がいくつか落ちていますが、ルルドの泉じゃないんだから別に投げ込んだってご利益は無い気がするんですけどねぇ・・・。
さて、では天守を登っていきますか。
この天守は外観4重で内部は5階建てとなっております。
当然、エレベーターなんて便利なものは付いておりません。
当時の木製の階段をせっせと登っていくことになります。
こちらが2階。
結構広いでしょ。
前に登った現存12天守のうちの一つ「丸岡城」とはボリュームが全然違いますね。
2階にも石落としなどの撃退用の設備があります。
こういう古い木造の建物ってなんかワクワクしますよね。
階段がすっごく急なんですが、これも快適性ではなく防衛を考えてのことなわけです。
3階にやってきました。
城の中には展示物もいくつかあります。
2階より床面積が小さくなったのが分かるでしょうか?
豊臣秀頼に仕え、大阪の陣で奮闘し戦死した後藤又兵衛が所有していたと言われている甲冑と槍です。
のちに又兵衛の弟が所持し、その後、親戚である松江藩士の土岐円田夫家に伝来したそうです。
うーん、こういう先祖代々伝わるものって良いなぁ。
そして4階です。
ここまで来たら最上階までもうちょっと。
4階、5階は特別な意匠がしてあるそうで、これまでの階は完全に拠点防衛用の無骨な造りだったのですが、ここと最上階である4階は登城した藩主を迎えるためのいくつかの特別な意匠があるそうです。
その中の一つがこちら2種類の登り口がある階段。
見えにくいでしょうが、左の階段でおじいさんが登ってくる方の左側に小さな登り口があるのがおわかりでしょうか?
これは藩主に付き従う小姓用の登り口と考えられています。
また5階に登る階段も踊り場なんかがあって、これまでの急な造りとは違うんですよね。
そしてこちらが最上階である5階です。
階段の手すりが装飾されていることが分かります。
また、屋根や壁など、居室っぽいですよね。
ここには双眼鏡がおいてあり、松江の街を眺めることが出来ます。
今日は晴れて天気もよく、綺麗な風景が広がっていました。
昔の藩主はここから何を思って松江の街を眺めていたんでしょうねぇ。
南側を眺めると、向こうの方に宍道湖だって見えます。
この角度からだと宍道湖に沈む夕日は眺められませんが、夕日に照らされた宍道湖を眺めながら一杯なんて乙なこともできそうですね。
さて、最上階まで来たことですしこのへんでそろそろ帰りますか。
トイレは大切ですよね。
こちらも藩主用に設けてあるもので、兵士は別のところでしていたんでしょう。
というわけで、松江城の天守を楽しんだ後は、ホーライエンヤも執り行われます城山稲荷神社に行ってみようと思います。
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