『もっとも多く生産されたバルナックライカ。戦後においてもその価値観は揺るぎない。』
バルナックライカはプロトタイプ「ウルライカ」から始まって、この「ライカ Ⅲf」が最終進化系といっても言いでしょう。
M型が発売された後に、バルナックライカの使い勝手を要望する声に合わせてM型の見やすいファインダーとバルナックの機構を組み合わせた「ライカ Ⅲg」というものもありますが、個人的にはこの「Ⅲf」が最後のバルナックライカだと思ってます。
脈々と進化し続けてきたバルナックライカ。
レンズが交換式になり、距離計を内蔵し、高速シャッター、低速シャッターを備え、そしてフラッシュ用のシンクロ接点を付け加えられたのがこの「Ⅲf」です。
「Ⅲf」のfはFlashのf。
なのでⅢa~Ⅲdまではアルファベット順にきたものの、Ⅲeは存在しないんですよね。
Ⅲdからセルフタイマーが付くようになりましたが、セルフタイマー付きのモデルはちょっとレア。
個人的にはこのアナログのセルフタイマーの音は結構好きです。
ジーというなんとも言えない機械音。
時を刻んでるって感じです。
+各部紹介+
各部紹介です。
*前面*
*背面*
カメラの前面にはスローシャッターダイヤルとセルフタイマーがついてます。
セルフタイマーはこのツマミを反時計回りに180度回転させることでタイマーを接することができます。
そして左側のボタンを押すことでジーっという音とともにつまみが時計回りに回転していき、元の位置に戻る瞬間にシャッターが押されるわけですね。
なんかとってもシステマチック!!
この機構が見てみたいがために、このⅢfを買ったといっても過言ではありません。
M3のセルフタイマーと比べるとM3の方がジジジと小さめな音な音なのに対し、こちらはガーっといった感じの大きめの音です。
まぁ、どちらも結構うるさいですけどね。
そして背面にはⅢfの特徴とも言えるシンクロ接点が見えます。
まぁ、これはフラッシュ使わない人にとってはどうでもいいんですがね。
目を近づけるとき危ないんでM型みたいに樹脂製のカバーとかあったらいいんですがないですかねぇ?
*軍艦部*
軍艦部です。
左からフィルム戻しダイヤル、その下に見えるのがファインダーの視野調節レバーです。
フラッシュなどをつけるマウントを挟んで、シャッタ速度ダイヤル、その下がシンクロ設定ダイヤルですね。
そしてシャッターボタン、一番右にフィルム巻き上げダイヤルがあります。
これも最初どうやってイジるのかわかりませんでしたが、フィルム巻き上げダイヤルの外側が上に引っ張れるようになっており、その状態でクルクル回すことで窓内の表示を変えれるんです。
何から何まで感心することばかり。
いや~すごいです。
というわけでⅢfについて解説してきました。
私はこの他にDⅡ、DⅢ、Ⅲcを所持してきたことがあり、今はDⅡとこの機種以外は売ってしまいましたが、それらの中でこのⅢfが一番使いやすいですね。
バルナックライカでも新しい機種であり、戦後から時間も立ち技術・資源的にも無理なく作ってることなどが操作感等に現れてるってことでしょうか。
とにかく各種ダイヤルやパーツ同士がキッチリ噛み合ってるって感じです。
その点、Ⅲcはちょっと甘い印象でした。
戦前モデルでしたが、やはり戦争中は精度が落ちるのも仕方なしなんでしょうか。
ちなみにこのカメラ。
これまで「Ⅲf」ということで話して来ましたが、実は・・・。
厳密に言うとこのカメラⅢfではないのです!!
M3のときに書きましたが、ライカはこれまで作られたものにすべて通しのシリアルナンバーがふられており、そのナンバーを知ることでいつに製造されたかわかります。
そしてシリアルナンバー「
575001~580000」の5000台は1951年~52年に製造された「ライカ Ⅰf」のものなんですよ。
主に学術機関とかで使われてたらしいです。
常に固定した光源もある状態で使用するので距離計もスローシャッターも必要ないってことですね。
このカメラはそんなⅠfに距離計とスローシャッターを後付けしたものなんですよ。
ライカは過去に販売したモデルに既存の機構を新しく取り付けるサービスを行なっていたんです。
つまり、スローシャッターのなかったDⅡに新たにスローシャッターを付けたり、シンクロ接点のないⅢcに新たにシンクロ接点を取り付けることが可能というわけです。
コレクションという意味では販売時から改造されてしまったものは価値が落ちてしまうものですが、個人的にはⅠfとして製造され、誰の手に渡ったかそれからスローシャッターに距離計、はてはセルフタイマーをつけて使用されていたってことでここにくるまでの経緯が色々想像できるこのカメラが気に入っています。
ちょっとした歴史ありって感じですね。
個体としてもかなりキレイな方で、結構大切に扱われてきたんでしょう。
私自身もあくまで一時の所有者として、私が死んだ後でもちゃんとキレイに使える状態を維持できるよう大切に扱って行きたいと思います。
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