それはとある運送会社の事業主の悩みについて書いた記事なのだが、この内容がいろんな掲示板などで論議を醸し出している。
どんな内容かというと
【残業代未払い求めるドライバー「人間不信に陥る」】
「人間不信に陥るよ」。それまで不平不満も言わず、まじめに働いていたドライバーがある時、急に態度を変える。トラック業界における労使トラブルでよく耳にする話だ。決して労働環境が整備されているとはいえない業界にあって、こうしたトラブルはいま、現場で頻繁に起きている。今回、当事者となってしまった東京都内の事業者も、「話に聞いていたが、まさか自分がという思いだ」と打ち明ける。
「不平不満も言わず、まじめに働くいいやつだ」。社長が最初に受けた印象で、何事もなく半年が過ぎようとしていたが、それまで何も言わなかったドライバーが有休を取りたいと申し出てきた。代わりのドライバーを用意するだけの余裕はない同社にとって、有休とはいえ休みを取られるのは痛手だ。社長は状況を説明した上で、苦肉の策として、有休を買い取ることで了承を得ようと試みた。
一時はそれでしのげたが、そのドライバーの態度は徐々に悪化。何かといえば不平不満を口にする。見かねた同社長が注意しても、態度は変わらない。
対応に苦慮していた時、新たな問題が起きる。残業代の未払いを要求してきたのだ。払えないと諭すと、今度は弁護士を伴って荷主へ駆け込んだ。
同業大手の仕事をしていた同社は、荷主からその事実を聞かされ慌てた。後でわかったことだが、ドライバーは入社してから、すべての日報をコピーして保管していたのだという。確信犯だった。残業代の請求は500万円に上ったが、労働調停で妥協案を示し、半分の250万円で解決を図ったという。
しかし、問題はそれだけで終わらなかった。荷主から台数削減というおとがめが来たのだ。仕事は長時間拘束される上に、運賃も残業代までカバーできる額には程遠い。トラブルの原因は、長時間の拘束をさせた荷主にも少なからずあるのだと社長は考えていただけに、「迷惑をかけたのは事実だが、台数削減には納得はできない」のが実情だ。
しかし、強く撤回を求めることもできず、従うしかないという。「平気で会社を裏切るドライバーや、臭いものにフタをする荷主の姿勢に、人間不信に陥った」。会社を畳むことも考えたが、残ったドライバーのためにも続ける覚悟を決めた。社長は、「自分の会社は自分で守らないといけない。不測の事態に対応できるよう、しっかりと環境を整備しなければならない」と話す。
…なんというか。
ひどい事業主もいたもんだ!
最初記事タイトル『残業代未払い求めるドライバー「人間不信に陥る」』からドライバーが残業手当がもらえず人間不信に陥っているという、まぁ最近ではよくある話かと思ったのだ。
ところがどっこい、読んでみたら人間不信に陥っているというのは事業主の方で、しかも残業代を要求したことに対して裏切りと表現しているのである。
もはやこの事業主については呆れて物が言えない状態である。
そもそも、物事には守らなければルールが有り、そしてそのルールを守らないと罰則がある場合がある。
皆がルールを守れば罰則なんて必要ないのだが、そうはいかないから罰則があるのだろう。
コレは倫理や道徳といった社会全体の問題でもあるのだが・・・。
今回の場合、事の発端は「有給を取りたい。」とドライバーが言ったこととあるがおそらくその前からドライバーにはいろいろ鬱憤が溜まってたに違いない。
そうでなければ日報をキチンとコピーして取っておくことなどしないだろう。
しかし、それについても「確信犯である」と言い切ったところみるとこの事業主は何の悪意もなく平然と違法行為をしてきたことが伺える。
「仕方ない。」は免罪符ではない。
「会社のためだから」、「今はお互い苦しいから」、「従業員ならそのくらいやらないと」そんないくつもの仕方ないを積み重ねてこれまでやってきたのだろうが、それを使っていいのは自分に対してだけであろう。
会社という組織があり、そこに事業主以外の従業員がいたならそれらの人間は平等ではない。
事業主には事業主側の守るべき義務があり、行使できる権利がある。
また、雇用されてる側にも守るべき義務があり、行使できる権利がある。
そして、事業主は従業員より上の立場であり、当然役職が上なら果たすべき義務もより大きくなる。
そのための役職であり、そしてそれに大して権利が発生するのだ。
ただいたずらに権利ばかりを行使して、何の義務も果たさず、果ては違法行為を繰り返し、従業員をまるで使い捨てのように扱う。
こんな会社が最近多いと聞く。
いわゆる「ブラック企業」というやつだ。
この会社も恐らくそうなのだろう。
某漫画のセリフにて
「吐き気を催す邪悪とはッ! なにも知らなぬ無知なる者を利用する事だ……!!
自分の利益だけのために利用する事だ…」
というセリフがあるがまさにその通りと言えよう。
そして
「意識のない悪意ほどたちの悪いものはない」
とも言われるがホントその通りで。
知らなかったが一番罪なことなのだ。
しかし、この「不平不満も言わず、まじめに働くいいやつだ」という評価を下した後に、何かこちらが要求すれば「平気で会社を裏切る」だの「人間不信に陥る」だの「そちらこそ契約違反」だの言い出すのはお決まりなのか?
まじめな人間なら当然、自分がした仕事に対する正当な対価を要求するのは当たり前だろ。
まじめなんだから。
それが嫌なら初めから不真面目で仕事ができない奴を雇っとけばいい。
それなら残業代を払わなくても、休日出勤をやらしてもなんの不平不満も言わずに働いてくれるはずである。
もちろん、こちらが期待した通りに働くかは別として…。
ともあれ、半年で500万ということは1年で1000万分の残業代だ。
これをチャラにするなどむしろドライバーの方が「人間不信」になり、最悪精神を病んで通院生活をしなければいけないだろう。
こうして、払うべき対価すら払えず、払えば事業がやっていけないとしたらそれは事業自体失敗してるのでさっさとそんな会社たたんでしまうべきであろう。
なんせ運営できてないのだから。
今回の場合、このドライバーはちゃんと証拠を取っておいたのが大きいだろう。
ちなみに残業代は2年間を遡って請求できる。
きちんといつに出勤したかの証拠が残っていれば、請求もしやすい。
ちなみに請求する場合は、まずは書面でいつまでにいくら支払って欲しいか書き、それを事業主に渡す。
そしてその日程までに支払いが行われなかった場合、労働基準監督署に申し立てをしてそこから事業主側に勧告してもらう。
この支払いについては最悪民事で争うこととなるが、支払いが行われなかった場合刑事上の罰則もあり、これは6ヶ月以上の懲役または30万円以下の罰金が課される。
何にせよ、まずはキチンと証拠(労働記録)などを作り、専門機関などに相談に行くのが一番だろう。
また、有給についても会社側はこれを受理する義務がある。
有給日数についてはいろいろ規定があるが、これも破れば刑事上の罰則対象である。
残業代は会社を辞めてからも請求できるが、有給については勤めてるときにしか受けれないので注意が必要だ。
しかし、何にせよ自分の身は自分で守ることがこれからの社会では原則になっていくかもしれない。
私自身社会人1年目で相当な煮え湯を飲まされたわけだが、そのことから人を信用するにしてもキチンと示しは付けないといけないことはよく分かった。
言葉というものはなんとも不確かで曖昧なものなのである。
それに事業主側も「自分の会社は自分で守らないといけない。不測の事態に対応できるよう、しっかりと環境を整備しなければならない」と思っているらしい。
みんなの会社ではなくあくまでも自分の会社、自分の身である。
そして不測の事態に対応できるよう、しっかりと環境を整備していくらしいのでこちらもそれなりの対応が必要と言えよう。
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