河原町、古い町並みを歩いて旅を終える
安間家史料館を出て、最後に向かったのは河原町。
篠山城跡の南側に残る、古い商家の町並みだ。
白壁に黒い格子、連なる瓦屋根。
細い通りの両側に、かつての城下町らしい建物が並んでいる。
今回の旅も、ここが最後。
カメラには再びSummilux-M 50mm F1.4 ASPH.を付けた。
50mmで歩く河原町
河原町を歩いていると、自然と目に入ってくるのは建物そのものよりも、その間にある小さな風景だった。
店先の商品。
軒下の暖簾。
古い木戸。
そして、夏の日差しを受けた瓦屋根。
50mmは、こうしたものを撮るのにちょうどいい。
広角ほど周囲を広く見せるわけでもなく、望遠ほど遠くから切り取るわけでもない。
自分がその場に立って見ている感覚に近い。
だから、歩きながら撮るにはやっぱり気持ちのいい焦点距離だ。
連なる瓦屋根
河原町の魅力は、何といってもこの屋根の重なり。
一軒の建物を撮っているつもりでも、その奥にはまた別の屋根があり、さらにその向こうにも古い町家が続いている。
強い夏の日差しで瓦の一枚一枚に光が当たり、軒下には深い影が落ちる。
Summiluxは、その明暗差の中でも木の質感や瓦の細かな表情をしっかり拾ってくれる。
古い町並みを撮ると、このレンズの立体感がよく分かる。
店先に並ぶもの
古い商家の前には、食べ物や工芸品、器などが並んでいる。
観光地ではあるけれど、こういう店先にはどこか昔ながらの商売の雰囲気が残っている。
商品をきれいに並べたディスプレイというより、
「ここに置いてあるものを、ちょっと覗いていってください」
そんな感じがする。
50mmで少し寄って撮る。
背景はほどよく整理され、手前の商品に自然と目が向く。
このあたりも、Summiluxの好きなところだ。
暖簾の向こう
古い門をくぐると、その奥には小さな中庭が見える。
白壁と木の柱。
その向こうには緑。
外の通りとは少し違う、静かな空間が広がっていた。
こういう場所では、50mmの画角がちょうどいい。
すべてを写そうとせず、入口から見える範囲だけを切り取る。
写真の中に「その先」を残しておく。
旅先では、こういう撮り方が一番楽しい。
そして135mmへ
河原町をしばらく歩いたところで、レンズを交換した。
最後に取り出したのは、
Elmarit-M 135mm F2.8。
1960年代から続く、古い望遠レンズだ。
今回の旅では、ここまでにも何度か使ってきた。
50mmとはまったく違う。
同じ町並みを見ていても、レンズを135mmに変えるだけで、景色の見え方が変わる。
屋根を重ねて撮る
135mmで狙うと、河原町の建物がぎゅっと重なって見える。
手前の屋根。
その奥の白壁。
さらにその向こうの瓦。
50mmでは「町を歩いている」写真になるのに対して、135mmでは「町並みそのものを眺める」写真になる。
望遠による圧縮効果で、屋根が幾重にも重なっていく。
これは50mmでは出せない面白さだ。
そして、古いレンズらしい少し柔らかな描写も、この町にはよく似合う。
河原町を行き交う人
通りには観光客の姿も増えてきた。
日傘を差す人。
店を覗く人。
ゆっくりと歩く人。
135mmでは、少し離れたところからその様子を切り取れる。
人を主役にするというより、人がいることで町が生きている。
そんな写真になる。
古い町並みだけを撮ると、まるで時間が止まっているようにも見える。
でも、そこを人が歩いていることで、今も続いている町だということが分かる。
最後の一枚
そして、今回の旅で最後にシャッターを切った。
河原町の通り。
連なる瓦屋根。
その中を歩いていく人たち。
少し遠くから135mmで眺めると、町並みの奥へ吸い込まれていくような景色になった。
これが今回の旅の最後の写真。
旅を終えて
ロードスターに戻る。
エンジンをかける。
今回の旅は、これで終わりだ。
篠山の山道を走り、筱見四十八滝を訪ね、古い町並みを歩いた。
そして、その一つ一つをLeica M-Pで撮った。
今回持ち出したレンズは、
Summilux-M 50mm F1.4 ASPH.
Elmarit-M 135mm F2.8
+TTArtisan 21mm F1.5 ASPH.
の3本。
広角で建物を見上げ、135mmで遠くの景色を引き寄せ、50mmで町を歩く。
レンズを交換するたびに、同じ旅先でも少し違った景色が見えてくる。
それが、今回の旅で改めて面白いと思ったことだった。
そして何より、ロードスターで走ること。
屋根を開けて山道を走り、気になった場所で車を止める。
カメラを持って歩く。
撮り終えたら、またロードスターに戻る。
目的地だけを目指す旅ではなく、
「走ること」と「撮ること」そのものを楽しむ旅。
それが今回の旅だったように思う。
ライカとロードスターで巡った夏
これで今回の旅は終わり。
夏の山道。
古い滝。
篠山の城下町。
そして最後に歩いた河原町。
振り返ってみれば、どれも派手な観光地ではない。
でも、Leicaを持って歩いていると、何気ない風景が一枚の写真になる。
古い瓦屋根。
軒下の影。
店先の商品。
通りを歩く人。
そうした小さなものを見つけるたびに車を止め、カメラを取り出す。
たぶん、こういう旅が自分には一番合っている。
ロードスターの幌を閉める。
カメラをバッグにしまう。
あとは家へ帰るだけ。
また次の季節に、次の道を走ろう。
そんなことを考えながら、篠山を後にした。
河原町妻入商家群
今回最後に訪れた河原町は、篠山城下町の南東部に位置する商業地区で、妻入の町家が連続して残る歴史的な町並み。
白壁と黒い格子、重なり合う瓦屋根が特徴的で、現在も店舗などとして使われている建物が多い。
観光地として整備されながらも、店先や町家の佇まいには昔ながらの生活感が残っている。
所在地: 兵庫県丹波篠山市河原町
見学: 通りの町並みは自由に散策可能
駐車場: 周辺の観光駐車場を利用
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