原点にして頂点 ~LEICA M3 ダブルストローク~

4月 30, 2011

そのカメラは世界に衝撃を与えた ライカ M3



私がこのカメラを購入したのは大学時代、ちょうどフィルムカメラにハマりだしてすぐの頃だ。
ちょうど4回生になり最後の学生生活を満喫しようとしていた私は新たにカメラという趣味をはじめ、1年間で思う存分楽しんでやろうと次々に色々なカメラに手を出していった。




最初に手に入れたのは”ローライ35”。
某アニメで一躍人気となった機種だが、当時はそんなこと知らなかった。

ただ、ローライと言えばローライフレックス、ようは二眼レフの王者的存在というわけでそんな会社がここまでコンパクトでストイックなカメラを出していたんだということに興味を惹かれた。

距離計はない、露出計はアダプタを介しボタン電池で作動する。
チャッという小さな作動音。
フィルムを巻き上げる感触。

ああ、これがフィルムカメラかと私に手取り足取り教えてくれた1台だ。



続いて手に入れたのがソ連製のレンジファインダーカメラ”ゾルキー4K”。
機種名がキリル文字なのがお気に入りだった。

ドイツ製のローライと比べ、コピーライカから発展していった当機種は端的に言えば無骨そのもの。

ジャーっと大きな音で巻き上がるフィルム、硬いシャッター、バシャッと大きな音で切れるシャッター。
全てが大雑把だったが、それでいて頑丈。

ああこれがソ連製ということなんだなと嫌という程身にしみた。
不思議と嫌いになれないカメラだったが、皮のケースから臭う独特の香りだけは最後まで慣れなかった。


そして三台目のフィルムカメラにこのライカ M3を購入した。
その時私の住んでいる近くには中古カメラ屋などあまりなく、このようなフルマニュアルカメラを購入しようと思えば必然的に遠出するかネットを利用するかしかなかった。

あまりおすすめではないが当時の私はヤフオクをよく利用しており、このライカ M3もヤフオクで購入した。
業者からの出品で、カメラ専門店というより質屋が出品しているもので、外装のグッタペルカもボロボロ、「詳しいことはわかりません」とあらゆる意味できな臭い商品だった。




最初私もこの外装の写真を見てこれは…と思ったがよくよく見てみるとグッタペルカ以外の部分は結構キレイだった。
ライカ M3を購入する際外装で気をつけることといえば”グッタペルカの剥がれ””軍艦上部のスレ””ボディの凹みや小キズ”だろう。

特にホットシューに露出計を装着し、使われていたことが多く、古いM型ライカの軍艦部はスレが多いものがある。
店は「よく使われた証拠、ピカピカの軍艦部のものよりこちらのほうがよっぽど価値がある」なんて好きなコト言って値段を上げたりしているが、個人的にはスレは少ない方が嬉しい。

某中古カメラショップからグッタペルカは張替えキットが格安で出ており(もちろん純正品ではない)、ファインダーやシャッターの機構が問題ないことを出品者に質問で確認し、それでもいささか不安だったが、格安で手に入れば上々と思って、入札していたらなんと落札できてしまったのだ。

想像以上に安く落札でき、確か4万円ちょいだと覚えているがこれはM3の相場から行くと半額程度だろう。
いくらボロい商品であっても店頭に並べられているもので、その値段で売られているものを見たことはない。

届いたカメラは写真通りグッタペルカがボロボロ剥がれているが、シャッターは全速問題なく動き、ファインダーもクリアだ。
二重像もしっかり見える。
あとでカメラ屋に持っていった時に見てもらったが、測らないと詳しい速度は分からないがシャッターの切れは問題ないかな、とご診断いただいた。

そして3000円ほどのグッタペルカ張替えキットを買い自分で張り替えた。




そうしてライカ M3は復活し、私の一番お気に入りのフィルムカメラになった。
それまで手に入れたフィルム機は全て売り、今後しばらくはライカ一本でフィルムは楽しむこととなる。
それほどまでにこのライカ M3が私に与えた影響はでかかった。

割りとコンパクトなボディに高級感あふれる質感。
手に持つとズシリと重たくひんやりとした金属ボディが心地良い。

今回買ったモデルはM3の中でもダブルストロークと呼ばれるもので、文字通り2回のアクションでフィルムを巻き上げる。
ネットなどではこのダブルストロークモデルのほうが感触がいいらしいが、機会があればシングルストロークのものも触ってみたい。

フィルムの巻き上げもスムーズで、レバーを2回”チャッチャッ”と巻き上げるのは小気味よく、親指で”チャッチャッ”とレバーを操作し、静かに人差し指でシャッターを押し込む撮影テンポこそ、ライカらしさなのではと思うほど。

もちろん、シングルストロークはシングルストロークでいい感触なのだと思うが、私の中ではすっかりこのダブルストロークがお気に入りになってしまったのだ。




裏蓋は塗装の剥がれが目立つが、目立つ傷といえばこの程度だ。
ただ、ストラップ取り付け部分にもすれがあるがこれは使用上しかたないものだろう。




軍艦部もほぼ傷なしと言っていいだろう。
物によっては角に凹みがあったり、ホットシューの周りつまりシリアルナンバー付近に擦り傷があるものがあるが、このカメラにはそういった目立った傷はない。

シリアルナンバーを確認すると1956年製らしい。
今から50年以上前のカメラである。
それが傷もあまりなく、動作もしっかりするのだから素晴らしい。
もちろん、完璧に作動するわけではなくそれなりに年劣化はしているだろう。

ちゃんとしたライカの感触にしたければ定期的なメンテナンスやオーバーホールは必須である。
私もこの先長くこのカメラと付き合って行きたいので、そのうちオーバーホールはしようと思っているが、そうホイホイと気軽に出来る値段ではない。

単純に分解し各種調整だけで4、5万円。
そこから部品の交換などあると6、7万円程度はザラ。
状態によっては10万円近くすることもあるという。
そんなわけでしばらく使ってて不調がなければそのままにし、適当なところでオーバーホールに出そうと思っている。




シャッター幕もキレイで光の漏れなどは感じない。
しかし、購入後1年程度で幕の先端の部分が剥がれてきた。

その時は応急処置ということで、黒い接着剤を塗ってなんとか使っているが、これもそのうち幕の交換にださないといけないのだろう。
ざっと見たところ幕の交換は1万円程度。
これにあと技術料がついて2万円くらいなのだろうか。
オーバーホールのついでにやってもらったほうが良さそうだ。




内部もサビやグリスの固着などなくスムーズに動く。
スプールを外せばフィルムカウンターがリセットする機構も面白い。




M型ライカの目玉でもあるファインダーもご覧通り。
中心部に二重像が見えるのがお分かりいただけただろうか?

二重像が出る部分が矩形に区切られているのでピントも合わせやすい。
これがロシアンライカとかだと矩形で区切られていること無く、背景と変わらない感じでズレてるだけなので結構ピントが合わせにくいのだ。

初めてこのファインダーを見た時は本当に感動した。
これも先にロシアンライカのゾルキー4Kを使っていたおかげかもしれない。

距離計のないローライ35、距離計が搭載されたゾルキー4K、そしてレンジファインダーの頂点と言われているライカ。
それらを順に持つことで、ライカの距離計がいかに素晴らしいかを実感できた。

今からM型ライカを購入したいという方がいれば、M3はM型ライカの中で数も多く値段も手頃である。
ファインダーの出来はM2の方が使い勝手は良いが、軍艦部が簡素化されており、個人的にはカメラの質を体感する意味でもM3をオススメしたい。

原点にして頂点。
ライカを始めてみたいが、何から替えばいいのか迷っておられる方にはオススメの1台だ。

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