~隠岐の島地質巡り~
2日目の始まりです。
今日もいい天気ですね。
野外活動日和といったところでしょうか。
ところで、ゆうはこのような新しい場所に泊まるときはあることをするように心がけてます。
そのあることとは一体・・・。
実はゆうはこういう時は、朝早く起きてその辺を散歩する習慣があるんですよね。
少しでも多く、その場所のことを知りたいから。
で、この日も朝の5時くらいに起きてその辺を散歩していました。
まだ、夜明け前で星がキレイでなかなかいい寝起きの運動になりましたね。
ただ、帰ってきてそのことを友人に伝えると「何で起こしてくれなかったの!」と怒られました。
だって、グーグーいびきかいて爆睡してましたし・・・。
で、朝の支度を終え、集合場所に向かって今日は隠岐の島の地質巡りに行きます。
ゆうの学科が地質専門なんで2日目は島の地質の名所を案内してもらおうとなっていたのですよ。
マイクロバスにみんな乗り込み、いざ出発です!!
まずやってきましたのは、何のへんてつもない河川沿いの道。
実はこの先に珍しい岩石を見れるポイントがあるんだとか。
その岩石とは「隠岐片麻岩」です。
なんと今からはるか昔、2億5千万年前の変成岩なんですねぇ。
2億5千万年前といえば、中生代の前記。
三畳紀と呼ばれる古生代から移り変わった時期になります。
変成岩とは元は泥や砂が海底などに沈み、その後地殻変動などでさらに地下に沈み込んだ時、高圧高温を
受け組織が変質したものを言います。
この隠岐片麻岩にはとてもめずらしい鉱物、「ジルコン」が含まれているんですね。
その鉱物から様々なことが読み取れるのですが、まぁそれはまたの機会に。
隠岐では昔から敷石などにも使われていた岩石です。
ちなみにこの隠岐片麻岩。
柘榴石も含まれていて、まぁ簡単に言えば宝石の「ガーネット」ですね。
それを聞いたら参加者の目つきも変わります(笑
中に含まれているのはほんの小さな、0.3mm程度のものなんですけどね。
このの場所は一応採取可能な露頭でしたが、隠岐の島のほとんどが国立公園になっており、国立公園では原則動植物、鉱物などの採取は禁止となっております。
てか、自然にあるものをみだらに傷つけたり持って行ったりしてはダメだということです。
バレたら警察沙汰にもなりますので、気をつけてくださいね。
そして次に向かったのが、先に隠岐の島は火山島と言いましたが、その火山によって噴出したマグマがある場所です。
上の写真もそのマグマが冷えて固まったものですね。
そしてこれが大変珍しいゼノリスというものです。
石の写真中央が黒いのが分かりますよね?
これがゼノリス、日本語で書くと”捕獲岩”というものです。
石がドロドロに溶けたマグマが、火山の噴火などによって地表に出てくるとき、周りのものも一緒に取り込んできたものなのです。
つまり、ここだけ岩石の種類が違うんですね。
そしてこのゼノリス。
ときには地中深くの岩石も取り込んできてくれるので、地球の内部の構造を知る手がかりにもなっております。
大変貴重なものなんですね。
よってここでは採取や岩石を傷つけることはできません。
観察だけにしておきます。
そしてゆうが今回の旅で石以外にも見たいと思っていたものがあります。
それは「オキサンショウウオ」。
名前の通り、隠岐にしか住んでいないサンショウウオです。
今回の散策は山の方にも行くのですが、その際湧き水の中などにいるかもしれないとのこと。
実は水生生物が好きなゆうは見れることを結構期待していまして、湧き水があるとよ~く目を凝らし、枝などで底を突いて動くものがないかと探しておりました。
そして、何度目かのポイントにて。
ガイドさんが、「今年の大雨で結構川の水量が上がって、いろんなものが流されたんでサンショウウオも見れないかもね」とかと励ましの言葉をかけてくれました・・・。
確かに上流の方は木々がなぎ倒され、いろんなものが流された後が残っております。
いや、そんなことくらいで諦めるゆうじゃありません。
トイレ休憩のために立ち寄った、山沿いの小屋の近くの湧き水で必死にオキサンショウウオを探します。
とそのとき!!
何かが水底で動きました。
急いでカメラを構えてシャッターを押しますと・・・
分かりますか?
普段なら底に溜まった木の葉の下に隠れていたんでしょうが、ゆうが底をかき混ぜたことにより飛び出してきました。
これがオキサンショウウオです。
もっとも水の中にいるのは幼体で、成体は地表に出て森の湿ったとことかにいます。
初めて隠岐の島に来て、オキサンショウウオが見れることは結構珍しいんじゃないでしょうか。
しかも、先の大雨でいろいろ河川が荒らされた状態でしたし。
とまぁ、地質巡りの合間にちょっとした幸運があったゆうでした。
で、地質巡りの方に戻ります。
この休憩場所からバスで降りてすぐの道端。
ほんとこんな感じの道端の岩壁。
こいつが実は火道と呼ばれるものなんです。
火道とは簡単に言うと、マグマの通り道のことです。
岩壁をよくみてみると、ちゃんとマグマが通った後なども見ることができます。
これもとても珍しいもので、文字通り石にへばりつくように観察する大学メンバー。
このように隠岐には他で見られない、貴重な地質が数多くあるわけです。
��日で全部見て回ることなどとてもじゃないけど不可能で・・・。
こうやって、いろんなところを見て回っている間も、また隠岐に来てみたいという気持ちが強くなっていきました。
そしてここまで見たらちょうど正午、お昼の時間帯です。
みんないろいろ歩いたりもしたので、お腹もペコペコ。
今日のお昼は案内の人が用意して下さったお弁当。
みんなでワイワイ言いながら食事をするのはとても楽しいものです。
すっかりみんな打ち解けた様子で、食事の後はあちらこちらでくつろいでいます。
そして、食事が終わった後には近くの海岸まで歩いて行きました。
そう、ここにも見ておくべき地質スポットがあるんですねぇ。
天気はちょっと曇ってきた模様。
しかし、日本海というのはやっぱ太平洋や瀬戸内海と違った顔を見せてくれます。
そしてこれがこの海岸の様子です。
どうですか?
岩肌がちょっとゴツゴツしているのが分かりますでしょうか?
実はコレ、枕状溶岩と呼ばれているものです。
枕みたいな丸っこい岩が連続してそこらじゅうに散らばっています。
これは海底でマグマが噴出した際、海水などで急に冷やされますと、マグマの表面はすぐに固まりますが、中はまだ高温のドロドロのままです。
そうすると、中のドロドロが卵の殻を破るように、マグマの表面の冷えて固まった殻を破ってまた海水中に出るわけです。
そして殻を割って出た溶岩も、海水によって冷やされまた殻になる。
それが繰り返されることで枕みたいな丸っこい岩がいくつも連なってできるんですね。
ちょっと面白いと思いませんか?
そして食後の散歩を済ませた後は別の海岸に向かいます。
ど~んと。
別にカメラを傾けて撮ったわけではないですよ。
地層が傾いてるわけです。
地層には”地層累重の法則”というものがありまして、地層は下から上に堆積していき、それは水平に積もるというものです。
つまり、このように傾いた地層がある場合は、例外を除いて地層が堆積した後に何らかの要因で、地層が傾いてしまったわけですね。
で、この地層よ~く見ると表面がこんなことになってます。
何やらスポンジのようにボコボコと小さな穴が空いています。
そしてその穴には小さな丸い石が入っています。
これは”火山豆石”と呼ばれるもので、火山の噴火によって巻き上げられた泥などが地面に降り積もって、出来上がったわけです。
大きさは数mm程度。
この隠岐の島が火山島で、しかもある程度の爆発を伴って生まれたことを示しているわけです。
こうやって、普段気にすることもない足元をちょっと注意深く見るだけで、様々な発見があるということはとても楽しいものです。
このような地質構造からいろんなことを想像する。
これって結構ロマンチックなことだと思いませんか?
そんな感じで今回の隠岐の島地質巡りは終了です。
なんと隠岐の島から出港するフェリー、最終便が15時に出てしますんですよ。
結構早い・・・。
ですので、我々も遅れないよう船着場に向かいます。
無事、西郷港についてフェリーに乗り込みます。
あっという間の1泊2日でしたが、とても充実した旅だったと思います。
まだまだ、したりないことは多くありますがそれはまたの機会ということで。
帰りも例によって甲板に出て海を眺めながら、しばしの船旅を楽しみます。
流石に11月、潮風は肌寒いですがここでしか見れない景色があるのなら、1秒でも見逃したくない一心です。
たまにイルカも見れるということでみんなで海面を眺めながら、この旅のことやこれからの大学生活のことを話します。
そして西の空を見れば、もうすぐ日が水平線に落ちていきます。
そう、この景色どっかで見たことがありますよね。
これこそブログの背景に使っている写真なわけです。
これはその中の1枚ですけどね。
日の光は水平になるほど、赤みを増していくわけで。
ブログ背景の写真はもうちょっと後のもの。
沈む夕日を見ながら、このとき私は何を思っていたのでしょうか。
そしてこれがブログの背景ですね。
ちょっと色味とコンストラストと明るさを調整しております。
けど、中々良い風景ですね。
そしてもう少し太陽が沈んだものがこちら。
残念ながらこの日は雲が邪魔で、太陽と水平線が重なるところは見れませんでしたが、太陽が見えなくなって少ししたら、船は港に到着しました。
港前のバス停から行きに乗ったバス停まで乗り、無事家に帰れました。
さて、こんどはいつに隠岐に行けるのか、そんなことを思いながら大学生活は続いていきます。
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