2017/09/03

LEICA SUMMILUX-M 50 mm f/1.4 ASPH レンズレビュー①

ライカが誇る標準レンズ

ライカレンズはその作りと写りの良さで世界中のカメラマンを虜にしてきたが、いわゆるライカが誇るスンダード(標準)レンズは時代とともに変容してきた。
良きカメラに良きレンズありとはよく言ったもので、ライカというブランドが今日まで生き残り旧世紀のデザイン、使い古された機構でありながら高額でも売れ続けるのはライカレンズのクオリティの高さゆえと言えるだろう。

バルナック型ライカの時代にはエルマー(ELMAR) 50mm F3.5がスタンダードレンズの役割を担っていた。
実に30年近く製造されたこのレンズは、その完成度の高さから多くのコピー製品を生み出したほどだ。

そのエルマーはM型ライカが発売される頃には開放F値がF3.5からF2.8と明るくなったが、その頃には世界はより明るいレンズを求めるようになっており、次なる時代のスタンダードレンズはズミクロン(SUMMICRON) 50mm F2.0がその役を担った。
空気レンズを採用した初代ズミクロンはその圧倒的な描写から、空気までも写すと言われたほどだ。

しかし、ユーザーはより明るいレンズを求め、メーカーもそれに答えてきた。
開放F値 F1.5のズマリットを経て、開放F値 F1.4のズミルックスが生み出されることになる。

最高の光を冠するレンズ SUMMILUX(ズミルックス)

今回改めてデジタルライカ用のレンズを買うに辺り、様々な考えを巡らせ限りある資金で一体どのレンズを購入しようか悩んだが、最後に出た結論がこのズミルックスである。
比較的安く光学性能もいいズミクロンも候補にあったが、どうせどちらを先に買っても、もう片方が気になり購入に至るだろうという大変ありがたいアドバイスがネットにあった。

確かにライカレンズはどれも魅力的でこれを買ったから他はいいという考えには至らない。
ならば、できればこういう機会にしか手に入れる気になれないような一番お高いレンズをまず先に買おうと思ったわけだ。

SUMMILUX(ズミルックス)の名前の由来はラテン語のSumma「最高のもの」と、ドイツ語のLuxus「豪華」あるいはラテン語のLux「光」にちなんで付けられている。
最高の光を得られる豪華なレンズ。
なるほど名は体を表すとはこのことだろう。

初代ズミルックスは1959年に誕生し、その作りの良さから「貴婦人」と称されたレンズである。
その2年後、改良型の第2世代が発売されそこから30年以上経った1995年に鏡胴デザインを変えた第3世代が発売された。
ただし、中身は第2世代とほとんど同じである。

そして2004年に現行モデル、第4世代が発売となる。



先にも書いたが第3世代と第2世代の中身は基本同じであり、実に約43年ぶりに光学系を一新したモデルとなる。
ここまで長い期間生産され続けたレンズが他にあるだろうか?
何年たっても色あせない描写性能。
それがライカレンズの最大の特徴とも言えるだろう。




最新型の第4世代はデジタル化も進む時代に生まれた最新レンズということもあり、数々の技術的革新が盛り込まれている。
最大の特徴は非球面レンズを採用したこと。



非球面レンズは文字通り、平面でも球面でもないレンズ。
球面レンズに比べ収差を小さくすることができ、メガネとかかけている人は割と馴染みのあるレンズかもしれない。
普通の球面レンズのメガネは中央はいいが、周辺の像が歪んで見える。
しかし、ちょっと値段が高い非球面レンズを選択すると、周辺の像も歪むことなく見えるのだ。
今までケチケチと安めの球面レンズばかり使っていた私にとって、初めて非球面レンズのメガネを掛けた時は大変感動したものだ。

広角レンズやズームレンズなどには早くから非球面レンズを採用していたが、50mmの標準レンズと呼ばれる単焦点レンズに非球面レンズを搭載したことは当時としては非常に進んだ考えであった。
光学性能に妥協しないライカらしい考えである。

そしてもう一つの技術的な特徴がフローティング機構だ。
フローティング機構とは、撮影距離ごとに変化する収差を補正するために、構成されたレンズ群の一部を稼働させる機構のことだ。



上の図が第4世代ズミルックスのレンズ構成になるが、5群8枚構成のレンズのちょうど真ん中のレンズがAsphere(非球面)レンズとなり、最後群の1群2枚がフローティング機構用のレンズとなる。

普通レンズはピントを合わせる時はフォーカス群のレンズを前後させピントを合わせるのだが、それと連動するように最後群のフローティング用レンズが独自移動するというわけだ。

これが電気式のレンズなら電気信号でモーターを稼働させ、フォーカス群のレンズとフローティング群のレンズをそれぞれ動かすことはそう難しいことではないが、ライカのレンズはフルマニュアルのレンズである。

ピントリングを回転させることによりフォーカス群のレンズを稼働させるのに合わせて、更にフローティング群のレンズも稼働させる。
少しでもズレが生じれば光学的欠陥となりうる超精密な機構は、組み立てにも熟練の技巧を要し、量産に当たっての製造難易度も大変高い。

ある種の工芸品のような作りのレンズ。
それがライカレンズである。
こういった作りの精密さを知れば知るほど、ライカレンズが高い理由が分かってくるというものだ。

さて今回は長々とズミルックスの紹介をしてしまったが、次回は実際に購入したズミルックスをレビューしていこう。
ゆう
ゆう

旅行とカメラが趣味のゆうが撮影した写真をただただ紹介するだけのブログです。頑張って更新していきます。

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