2022/08/30

LEICA Sとは何者なのか?

ライカSを手に入れてしばらく使ったわけですが、このカメラは一体何者なのかと調べようとするとあまりの情報の少なさに驚きます。

大手のレビュー以外は数えるしかありません。

ライカは知っている人は多いと思いますが、その中でもライカSって何?という人の方が多そうですね。

今ライカSを買おうとしてて情報を集めています!って人はほとんどいないと思いますが…。

今回はとてもニッチな話題になると思いますが、ライカSを手に入れた私自身、このカメラが一体どのようなカメラなのか知りたかったので、ネットであれこれ調べた内容をまとめてみたいと思います。


MではないSの系譜

LEICAという言葉を聞いて皆さんは何を想像するでしょうか?
ある程度カメラをかじったことがある人ならライカはドイツが誇る高級カメラメーカーであり、また今日に続く35mmフィルムの生みの親であることくらいは知っていると思います。

最近は35mm判やライカ判なんて言わずにフルサイズという言葉を使いますから、ライカがこの規格を使い出したなんて若い人は知らないかもしれません。



また、ライカと言えば上のようなM型を思い浮かべる人も多いでしょう。
ザ・カメラってフォルムですよね。

レトロですが一向に色褪せない素晴らしいフォルム、まさにライカの中のライカですよね。
M型はある意味ポルシェの911のように変わらないことに価値があります。

しかし、一見保守的に見えるライカですが、実は結構挑戦的なメーカーでもあるんです。
フィルム時代から一眼レフも製造していたり、ミノルタなどのメーカーとコラボしたり。
最近ではミラーレス一眼でLマウントアライアンスを提唱し、シグマやパナソニックが協賛してたりしますよね。

保守と革新、一見すると矛盾するようなキャラクター性をライカは持ち合わせています。
そしてライカSはライカの革新的な部分が色濃く出たカメラと言えるでしょう。


ライカS1 デジタル化への挑戦


ライカは2006年にM型ライカのデジタル版、ライカM8を発売しました。
M型ライカのファンの中には35mmフィルムを生み出したライカですらデジタル化の波が押し寄せたかと落胆したと聞きます。

ですが、実はライカが初めて作ったデジタルカメラは1996年に発売された「ライカS1」。
2500万画素のスキャナーカメラという今のデジカメとは仕様が違うカメラで、カメラ単体では使用できずPCと繋ぎ1枚撮影するのに2〜3分かかったといいます。

昔大判カメラをデジタル化するために市販のスキャナーと一体化した人のブログを読んだことがありますが。
このカメラもそんな感じでしょう。

スキャンで書類を取り込むように、レンズが映す景色を取り込むというわけです。

ただ、撮影環境が特殊すぎるため用途は主に美術館・博物館の収蔵物を撮影したり、スタジオでの静物撮影です。
国内では1台しか販売されてないらしく、まさにレア中のレアなカメラです。

ですが、Sの系譜はまさにここから始まったのです。


ライカS2 ライカが生み出した最高の一眼レフカメラ



フォトキナ2008において全く新しいライカカメラが発表されました。
名前は「ライカS2」。

フルサイズセンサーの約1.6倍にもなる45×30mmコダック製3,750万画素CCDセンサーを搭載しております。
いわゆる中判センサーと呼ばれるものですね。

先に書きましたが、M型ライカの初デジタル機であるライカM8が出たのが2006年。
キヤノンが2000年に初のデジタル一眼レフを発売したことを考えるとかなりの後発となります。

ですが、初デジカメを発売の2年後に中判デジタルカメラを発売するとは、ライカのデジタル化への本気が伺えます。

また、他社の中判カメラは約44×33mmのアスペクト比4:3のセンサーを搭載してますが、ライカはあえてアスペクト比3:2である45×30mmのセンサーを選択しました。
フルサイズもアスペクト比3:2であり、ライカ判とアスペクト比を合わせるのはライラなりのこだわりでしょう。。

ここからライカ「Sシステム」が始まっていきます。
Sシステムとしては初号機になるわけですが、過去にあったライカS1の系譜として名前を付けた当たり、ライカ的にはライカS1は無視することができない大切な1台だったんでしょうね。


ライカS(Typ006)/S-E AFの高速化、GPSが搭載された


フォトキナ2012で発表。
ライカS2と同じ3,750万画素CCDセンサーを採用。

GPSユニットが装備され、AFシステムも改良されました。
また、液晶画面も解像度92万画素となり使い勝手が向上しています。

ただ、ライカとしてはS3の名前は付けなかったんですよね。
この時期はライカ的に一番混乱していた時期な気がします。

私が持っているライカM(Typ240)もライカM9の次世代機のはずなんですが、ライカM10とはなりませんでしたからね。

ライカS-E(Typ006)はライカS(Typ007)の発売と同時に発表された機体で、ライカS(Typ006)の廉価版です。
トップカバーをグレーにしたりちょっとだけ仕様が違います。


ライカS(Typ007) CMOSセンサー搭載で使い勝手が向上


フォトキナ2014で発表。
センサーがCCDからCMOSへと進化しました。
画素数は3,750万画素と変更はありません。

ライカS(Typ006)からわずか2年後に販売って結構早いですよね。
もしかしたらTyp006の頃から計画はあったのかもしれませんね。

CMOSセンサーとなったことで、ライブビューや4K動画撮影に対応しました。
また、感度もISO100〜12500となり実用的ですね。

私が買ったのもこのモデルとなります。
中古の値段だけ考えたらTyp006とTyp007では倍くらい違うのですが、CCD機とCMOS機では使い勝手が段違いですからね。
別のブログの受け売りですが、日中に撮れる写真はそこまで遜色ないとのこと。

ただ、国産の一眼レフと比べてAFが遅い、そもそもAF測点が中央しかない、予測AFがあるそうですが動きモノにはほぼ使えない、連射ができない・・・などなど。

単なる一眼レフとしてみたら散々たる性能な気はします。
中判カメラとしてみたらHasselblad X1DよりAFなどは早く実用的。
富士フィルム GXF系よりAF遅いしレンズラインナップも少ないというところでしょうか。

ただ、上記2機種より圧倒的に高いので、値段で選ぶならやはり国産がいいんでしょうね。


ライカS3 6,400万画素の高画素を手に入れた

フォトキナ2018で発表、発売されたのは2020年春です。
新たに開発した6,400万画素のCMOSセンサーを搭載し、感度もISO100〜50000まで対応。
ただ形状や他の仕様などはライカS(Typ007)を踏襲しています。

ライカM11が6,000万画素となったことより、ライカのフラグシップモデルであるライカSも高画素化する必要があったんでしょうね。

ライバルであるHasselbladや富士フィルムの中判カメラは5000万画素や1億画素モデルもありますので、3,750万画素だと少々見劣りするのは否めませんからね。

一眼レフというスタイルで中判カメラを発売し続けてくれるライカはある意味この業界では機長な存在です。
社会はすっかりミラーレス化が進んでますが、ライカSはこのスタイルをずっと続けてほしいですよね。


Sの系譜


ライカSシリーズを並べるとこんな感じ。
S1はSシステムではないので厳密にはSシリーズではないですけどね。

2009年に発売したライカS2から2020年に発売したライカS3までほとんど形が変わってないのが見て取れると思います。

思わず中川コラを作っちゃうレベルです。


ライカM型もこんな感じなのかなぁ。

ただ、変更するところがないほど煮詰まったボディを一発目で出せるって、ユーザー的にはすごくありがたいですよね。
操作法を覚え直さなくてもいいですから。

ただ、ナンバリングはどうにかしてほしい。
パッと見るとライカS(Typ006)の次がライカS(Typ007)→ライカS2→ライカS3の順に販売されたように見えます。

中古とか買う人は気をつけてください。


ライカSとは何者なのか?

ライカはこれまでフィルム時代を含め、中判カメラを作ったことはありませんでした。
現在のフルサイズ規格を生み出したのがライカですから、そこにこだわりがあったことは言うまでもないでしょう。

持ち運びが容易で引き伸ばしにも十分耐えうる最良の規格として作り出した36×24mmサイズは世界中で採用されることとなり、カメラ界の標準指標となっています。
レンズの焦点距離とか見るときフルサイズ換算でとか言いますからね。

ただ、デジタル化は新たな可能性を見出したのではないでしょうか。
どんどん小型化が可能になってくるにしたがい、これまでのフルサイズ規格でないカメラを作りたい。

より高精細なセンサーを積み、それに見合ったレンズを作る。
今のライカの技術の粋を集めて作られたシステム。
それがSシステムなのです。

写りにとことんこだわったおかげで値段もとことん高くなってます。
ボディだけで250万円以上、レンズは標準レンズこそ60万円程度ですが、他の交換レンズは80〜100万円以上が当たり前といったラインナップです。

ライカM型ですら100万円を超えるボディは各方面から高すぎるカメラと言われますが、ライカSはそんなM型ですら安く感じてしまうくらいの価格帯。

ですが、これを手にしたときライカの本気が垣間見える気がします。
元値は高いですが、中古の値下がり率は半端ない(多分誰も使わないんだろなぁ・・・)ので、気になる方は手にしてみてもいいかもしれませんよ。
ゆう
ゆう

旅行とカメラが趣味のゆうが撮影した写真をただただ紹介するだけのブログです。頑張って更新していきます。

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