2018/11/02

華氏119を見て

ドナルド・トランプとはなんだったのか



マイケル・ムーア監督といえば高校生二人が在籍校で銃を乱射したコロンバイン高校銃乱射事件を題材にした「ボウリング・フォー・コロンバイン」やブッシュ政権を批判した「華氏911」なんかが有名ですね。



ボウリング・フォー・コロンバインは見たことがあり、アメリカの銃社会の凄惨さを上手く描いているなと思ったもんですが、今回はそんなマイケル・ムーア監督の最新作「華氏119」を見に行った感想を書いていきたいと思います。


華氏119とは

まず、この映画のタイトルですがもちろんこれは自身の映画「華氏911」をもじったもので、ドナルド・トランプが大統領当選を確実とし勝利宣言をした「2016年11月9日」を意味しているそうです。

残念ながら華氏911を私は見てないので、マイケル・ムーア氏が送る政権批判のドキュメンタリーがどんなものなのか想像できませんが、事前の広告などでは、


文春砲になぞらえ、マイケル・ムーア砲トランプ直撃!などとマイケル・ムーア氏が現トランプ政権を痛烈に批判した内容であるかのように案内されていますが、正直コレはいかがなものかと見終わった今では思います。

細かい内容は皆さんも見て確認していただきたいのですが、正直この映画のメインテーマはトランプ政権ではなくアメリカの社会構造、選挙制度、社会基盤の破壊などがテーマなんです。


危ないのはドナルド・トランプではなくアメリカの社会そのものである


この作品は始まりこそ、ドナルド・トランプ政権が誕生するまでにどのような宣伝を行っていたかなど、選挙制度について論じています。

ですが、途中から話はドナルド・トランプではなくアメリカミシガン州フリント市の話に移るんですよ。


このミシガン州の州知事こそドナルド・トランプが参考にした人物で、この者こそ市民を騙し、利益を貪り、さばきを受けるべき存在だと。

このフリントで何があったかと言うと、場所を見てもらったら分かるようにアメリカの一大工業地デトロイトの近くなんですよね。
フリントもGMなどの大手自動車メーカーの工場があるのですが、これまでは五大湖のヒューロン湖の水を水道水の水源にしてたんですよ。

ですが、財政破綻状態のフリント市はデトロイト水道下水局から給水停止を通知され、市内を流れるフリント川から水道水を取水し、市に供給するんですがこれがまずかった・・・。
これまで工場地帯からの汚染が蓄積した川の水が、劣化した古い水道管を通るとき管を腐食させ大量の鉛が水道水に混ざることになります。


そしてフリント市民は鉛中毒にかかっていき、健康被害が多く報告されたのですが、州と連邦はこれを隠蔽してしまうわけです。


映画の中盤から後半はこのフリント市の水道問題の一連の事件を取り上げ、スナイダー州知事の悪事を暴く!みたいな内容になっているのですが、正直ぶっちゃけこれトランプ関係なくね?って思うわけですよ。

あれほどマイケル・ムーア砲トランプ直撃!とか書いてあっても、この事件が起きたのは前のオバマ政権のときです。
ちなみにこの問題はオバマ大統領が「非常事態宣言」をする事態になり、実際にオバマ大統領もフリント市を訪れるというところまで発展したのですが・・・。


大統領が動いてくれた!と歓迎した市民ですが、結局オバマ大統領は壇上でフリント市の水を飲むフリをするパフォーマンスをした後、フリント市の水問題は解決に向かっているということで州知事にも何のお咎め無しで終わり、住民たちは落胆します。

そういうことも映画では描かれているのですが、これはもはやマイケル・ムーア砲が直撃してるのはスナイダー州知事やオバマ前大統領では?と思うわけですよ。

こっちはあれだけ落ちると思われたドナルド・トランプがなぜ選挙に勝ってしまったのか、アメリカの選挙制度の歪みや社会情勢、ドナルド・トランプの裏側なんかを鋭く描写した映画を期待したのですがそのへんはあっさり終わり、あとはマイケル・ムーア氏がとにかくドナルド・トランプを気に食わないんだろなぁという難癖レベルの内容でした。

ぶっちゃけこれドナルド・トランプは知名度あるから宣伝に使ってるだけで、メインで伝えたいのはマイケル・ムーア氏の故郷でもあるミシガン州フリント市で起きた水道問題何じゃないかと思うわけですよ。

映画の半分以上その話だった気がしますし。
別にその話は個人的には新鮮で、行政が担うべきインフラがここまで壊滅するのかとある種の恐怖を覚えたわけですが、それがメインテーマならドナルド・トランプとかほっといてそっちに主眼を置いてやっててくれても良かったなと。

変にドナルド・トランプ噛ませなくてもいいじゃんと思ったわけですよ。

ですが、アメリカで近年起きた大問題であるフリント市水道問題。
これが日本ではほとんど報道されていないので、それを知るためにもこの映画を見るのは結構ありかなとか思います。
ゆう
ゆう

旅行とカメラが趣味のゆうが撮影した写真をただただ紹介するだけのブログです。頑張って更新していきます。

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