今回はそのハッセルブラッドのレンズについて紹介していこう。
Carl Zeiss Distagon C 50mm F4 T*
Distagon(ディスタゴン)はCarl Zeissレンズの中でも広角レンズの名称であるが、このレンズの焦点距離は50mmだ。
しかしこれはライカ判35mm換算での数値なので中判の焦点距離に直すと約28mmの広角レンズとなる。
なにか不思議な感じではあるがカメラ世界の標準がライカ判35mmということを身につまされる気分である。
ハッセルブラッドを買う場合、最初に手にするレンズは殆どの人が「Planar 80mm F2.8」だと思う。
これは換算50mmになる標準レンズで、F2.8とハッセルブラッドのレンズの中でも明るめで使いやすいレンズなのだ。
そしてその次に買い足すのは望遠レンズである「Sonnar 150mm F4」か、この広角レンズ「Distagon 50mm F4」が相場である。
そしてどっぷりとハッセルブラッドにハマった人は、その後も様々なレンズに手を出していくことになるだろう。
このレンズは「Distagon 50mm F2.8」の中でもCレンズと呼ばれるもので、更にCarl ZeissオリジナルのT*コーティングがされているレンズである。
Carl Zeiss製のわりと新しめのレンズには殆どこのT*コーティングがされていると思うが、これはフレアやゴーストなどの発生を抑え逆光などに強くしたコーティングである。
まぁ、レンズにとって最も苦手とするのは逆光下での撮影であり、その際起こるフレアやゴーストを抑えるために各社様々なコーティングを施している。
Carl Zeiss社は自社レンズのコーティングをT*と名しているのである。
しかしこのレンズ。
よくよく見るとあまりキレイではない。
それもそのはずでこのレンズはヤフオクで「あたり、スレ、傷あり」で実用品として安く出てたものである。
たまたま目につき安かったら買おうかなと思っていたら、思っていた以上に安く買えてしまったと言うわけだ。
詳しくは書かないが、ヤフオク相場のおよそ1/2、中古市場相場でいうとおよそ1/3~1/4程度の値段で手に入れてしまったのでこれで贅沢を言う方がおかしいとおいうものだ。
ちなみにレンズの上部にはあたりがあり、スレもいくつか見られレタッチした後が見られる。
そしてレンズを前玉から覗くとうっすら白いスジが見えるのが分かるだろうか?
写真でやじるしで示したとこにある白い線である。
最初見た時は驚いたがこれが商品説明に書いてあった「コバ落ち」というものらしい。
どういうものかネットで調べてみたら、カメラに使用されているレンズはある程度厚みがあり、その側面を黒く塗っているのである。
それを「コバ」と言うらしい。
それが「コバ落ち」というものだ。
レンズの前面から覗くとちょうど白い線のように見えるのだが、別に写りにはそこまで関係ないとのことなのでちょっと安心。
あたりもスレもコバ落ちもこのレンズが歩んできた勲章ということにしておく。
古いレンズだ。いろいろあるさ。
そしてボディにつけてみると、シルバーのレンズとまた違った雰囲気になって良い感じである。
ピントリングも最初持ってたプラナーよりも軽く動く。
これは恐らくレンズの古さの違いで、このT*レンズの方がまだ新しい。
そのため中のグリスなどがまだそこまで固まってないのだろう。
届いてから各種動作を確認してみたが、特に不具合は見つからなかった。
セルフタイマーもきっちり動く。
しかし、ハッセルブラッド Cレンズに付いてるセルフタイマーは結構壊れやすいようなので使うのは控えたほうがいいかもしれない。
実はそのセルフタイマー関連で私は一度、プラナーのレンズを壊した経験がある。
修理費はそこまで高くなかったが触らぬ神に祟りなしである。
最後にスクリーンの写りを紹介して終わりにしよう。
ハッセルブラッドのスクリーンの見やすさは、中判カメラの中でも別格らしい。
他の中判カメラは古めのRolleiflexしか触ったことがないので、あまり断定はできないがRolleiflexと比べてもこのスクリーンは明るく大変見やすい。
ちなみにこのDistagonは開放F値がF4なので、開放F値F2.8のプラナーを装着するともっと明るく見やすくなるのは言うまでもない。
それでもちゃんとピントの山がしっかり捉えやすいのはさすがといったところ。
ちなみにもうひとつ。
買ってみて知ったことで嬉しい誤算があった。
それはこのレンズの最短撮影距離がかなり短いということ。
「Planar 80mm F2.8」は最短撮影距離が約3featである。
正直フィート表示されても分かりにくくて仕方がないのだが、1フィート約30cmなのでおおよそ1mといったところ。
しかし、この「Distagon 50mm F4 T*」の最短撮影距離は19inchだったのである。
1インチは約2.5cmなのでおよそ50cmくらいであろう。
つまり、プラナーの2倍寄れるのである!
これはかなり使いやすい。
なんせテーブルの上においたものにピントが合うのだ。
実際、適当にレンズやフィギュアを机の上に並べてピントを合わせてみた。
いかがだろうか?
手前のシルバーのレンズと奥の背の高い黒いレンズはボケ、真ん中のフィギュアにピントが合っているのがよく分かると思う。
よくハッセルブラッドのスクリーンは立体的に物が見えるというが、それは透き通るようなスクリーンにピントの合った部分が鮮明にわかり距離感が捉えやすいことが要因であろう。
また、このレンズでもいろんな写真を撮っていきたいと思う。
しかし、その前にこのレンズにあったレンズキャップを手に入れたいものである。
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