2014/05/29

ライカ DⅢ ブラックペイント


今回は最近手に入れたフィルムカメラについて話していきたい。
Leica DⅢ ブラックペイント”モデルである。
バルナックライカという存在を知ってからずっと欲しかった憧れのカメラだ。

このカメラは戦前、1933~1939年の間に76000台製造された。
ただしボディはクロームとブラックペイントの2種があり、そのうちブラックペイントは27000台と半分以下の製造台数で現時点で手に入れるのは中々難しい機種となる。

ブラックペイントはその名の通り、真鍮地のボディにブラックのエナメル塗装をしてある。
使っていくうちにペイントがかすれ、下地の真鍮色が出てくるのもまた乙なものだ。
ただ古いボディのせいか、キレイな個体もそう多くない。
しかし、そうやって使い込まれた機種も「かえって味がある」など理由がつけられ中々値が下がらない。
M型のブラックペイントなどは軽く車1台分くらいの値で売られていたりするから驚きだ。

しかし、実物を手にとってよく眺めてみるとその値段の理由がわかってくるというもの。
この時代のライカは戦前の全盛期の頃であり、カメラの作りも大変良い。
ダイヤルを回し、シャッターを切ってみてもその各動きがとても滑らかで上品で。
これこそライツのカメラという感じがする。


各ダイヤルの動作はスムーズで変な引っ掛かりや重さは感じない。
バルナックライカはシャッター速度ダイヤルは一度引き出し回すのだが前に持っていたⅢcはその動作がどこか引っかかる感じで触っていて決して気持ちよくはなかった。
しかし、このDⅢはとても素直に回る。

巻き上げダイヤルも適度なトルクがあり重みを感じる動作でとても良い。
これがⅢfあたりだととても軽くチャキチャキ動くのでかえってそれが安っぽい。

軍艦部も目立った傷や塗装のハゲなどなく美品と呼べる程度のシロモノだ。
ただし、グッタペルカに目立つ色あせと象嵌に滲みがあるのが惜しい。

購入元は某オークション。
ちょっとした臨時収入的なものがあり、なにか買おうかなと色々ネットで調べていたのだが。
ふと某オークションを覗いてみると、開始価格がとても安くしかもキレイなDⅢのブラックペイントボディがあるじゃないか?!と食いついてしまったわけだ。

しかし、最初から競り合うつもりはあまりなかった。
臨時収入といってもそこまで金をかけれるわけじゃないし、この前DⅢを買ったときは6万円後半くらいはした。
オークションだとDⅢの相場は7万前後と言ったところだろうか。
なにせ数が少なく出品者の言い値がほとんど相場になっている。

だから、私がこのくらいまでなら金をだしてもいっかという予算を最初に入札しておいてあとはそれを超えたらもう買わないつもりで見守っていた。

するとなんとその予算以下でそのまま落札できたではないか?!
これには流石に驚いた。
運が良かったとしか言い様がない。


シャッター幕もまだまだキレイ。
ファインダーもクリアだ。
ハーフミラーの二重像もちゃんと見える。


ちなみにバルナックライカはDⅢから1.5倍の視度補正機構とストラップがつけられた。


このように覗き窓の手前のレバーを回すことで視度を補正できるわけだ。


ダイヤル周りは基本DⅡと変わらない。
DⅡの初期の方はシャッタースピードダイヤルももう少し平たく大きかったが、それでは引き出して回しにくかった。
そのためか、DⅡでも後期に生産されているものはDⅢ以降と同タイプの小さく摘みやすいタイプへと変更された。


裏蓋も傷も少なくキレイな状態だ。


DⅡは裏蓋を開けたところがシンプルな作りになっているのだが、DⅢはスローシャッターが搭載されているためそのための機構が見られる。


軍艦部のロゴも消えずにまだしっかり残っている。
Leica部分は鮮明だが、下の「Ernst Leitz Wetzlar」の文字は滲みが見られる。
これはニッケルボディであれば溝に黒塗料を塗った処理なのに対し、ブラックペイントボディのロゴは銀象嵌仕様なので年劣化に伴い滲むことがあるのだ。
この辺の仕様を見てもブラックペイントがクロームメッキより手間ひまかけて作られているのが分かる。
そうしたライカのこだわり一つ一つこそ、ライカが私を虜にさせる魅力なのだろう。


最後に今持っているDⅡと撮り比べ。
こうしてみると同じブラックボディでもダイヤルの色が違うのが分かると思う。

いわゆるニッケルメッキとクロームメッキの違いである。
ブラックペイントボディでよく見かけるのはブラックボディ+ニッケルメッキの組み合わせなのだが、中には今回私が手に入れたようなブラックボディ+クロームメッキのものも見かける。

ネットで調べてみると、DⅢのブラックペイントボディには

・ブラックペイント+ニッケルメッキ
・ブラックペイント+クロームメッキ

の2種類あり生産時期の違いでニッケルメッキかクロームメッキに分かれているらしい。
某中古カメラショップブログ曰く、後期のブラックペイント+クロームメッキは数が少なく昔は結構高価だったとか。
今は多分ブラックペイント+ニッケルメッキのほうが人気ある気がする。
ちなみにブラックペイント+クロームメッキのものは「セミクローム」などと呼ばれているらしい。

前に持っていたDⅢのブラックペイントはシリアルナンバーを見るに1934年生産のものだ。



そして今回手に入れたセミクロームモデルが1936年生産のものとなると、少なくとも1934年以前に作られたDⅢのブラックペイントモデルはブラックペイント+ニッケルメッキ。
1936年以降に作られたブラックペイントモデルはセミクロームと言っていいはずだ。

ちなみにDⅡにもセミクロームモデルがあり、オークションなどで見るとやはり1936年生産のものはセミクロームだったので1936年以降はブラックペイントモデルはセミクロームになっていることは間違いないだろう。
機会があればDⅡのセミクロームモデルも手に入れてみたい。

今回はついでに新しいレンズも手に入れたのだが、これもまた安くてに入った。
オークションは運が良ければ今回のように掘り出し物が格安で手に入れることができる。
しかし、大半の場合は傷物が多く使えるようにするためには結局普通に中古を買うほうが安いという例もあるので注意が必要だ。

もしライカが好きな方でまだブラックペイントボディを見たことがない人は、ぜひ一度現物を手にしその美しさを堪能してもらいたい。

ゆう
ゆう

旅行とカメラが趣味のゆうが撮影した写真をただただ紹介するだけのブログです。頑張って更新していきます。

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