2014/05/30

ライカ DⅡ ブラックペイント

 ☆ライカ DⅡ ブラックペイント☆




新しく買ったDⅢの話もしたことだし、せっかくなんでまだしてなかった”Leica DⅡ ブラックペイント”の話もしていこと思う。
これは私が初めて店頭でその目で見て選んで買ったライカである意味記念のライカだ。




ライカ DⅢみたいにスローシャッターダイヤルのないシンプルな前面。
沈胴レンズを装着したらスポッとポケットに収まるこのカメラは私の大のお気に入りである。

大学時代カメラにハマり、ライカを調べていくうちにどうしても手に入れたくなった”ブラックペイントモデル”。
もちろんレアということでコレクター魂をくすぐったし、何よりそのボディの美しさに惹かれた。

私が初めて見たブラックペイントボディは近所のキタムラの中古コーナーのショーケースの中のDⅢだが、そいつには6万8000円という値札がついていた。
つい最近7万でデジ一を買った私から見たら高嶺の花。
しかも、結構傷だらけで「どうしてこんなボロいカメラが約7万円もするんだ?ちゃんと動くかも分からんし流石ライカ。」とか思ったわけだ。

しかし、その後色々調べていくうちにブラックペイントボディの素晴らしさに心動かされたわけだが、ちなみにそのカメラは3週間後には店頭から消えていた。
今なら分かる。
ちょっとばかし傷があってもレンズ付きで6万8000円はまだお得な方だったと・・・。

そうしてブラックペイントボディ欲しい病にかかった私は春休みを利用して大阪まで出て行き、大阪梅田のカメラ屋巡りをしたわけだる。
この話はブログの初期の記事でも見てもらえば簡単ではあるが載っている。



そして狙いのブラックペイントボディを見つけ、散々悩んだ挙句に購入に至ったわけだ。
そのときはも帰るときはもう興奮しっぱなし。
ホントは店主にOH(オーバーホール)したほうがいいと言われたが、シャッターはちゃんと切れるし別の安い店でハーフミラーだけ交換してもらった。

そうして私はライカ DⅡ ブラックペイントボディを手に入れたわけである。
シャッター速度は1./500まで、ファインダーも小さく撮りやすいカメラではない。
しかし、そのデザイン、重さ、各操作。
どれをとっても上品でまさに工芸品と呼ぶにふさわしいカメラである。
シャッター音一つとってもここまで話題になるカメラは世界広しといえどライカくらいなものであろう。
ちなみにこのDⅡのシャッター音はDⅢの時に書いたが、私の持ってるライカの中では一番大きい音。
カタッと小気味のよい音を響かしてくれる。
整備の問題かもしれないが、DⅢはこれより少し小さめの落ち着いた音でそれもまたいい。
しかし、このDⅡの元気な音も嫌いじゃない。



そしてこのカメラは私の持ってるDⅢより保存状態がいい。
軍艦部の文字もハッキリ読み取れ、ボディ全体は艶やかに黒光りしている。
DⅡはDⅢの用に視野調節ダイヤルが付いてはいない。
買ったときはピント調節ファインダーの方は二重像が薄く、買ってすぐ店に出して修理してもらった。
今ではクッキリ見える。
ただしレンズ前面側のレンズが黄色くなっている。
これはデフォルトなのか交換したのかは分からない。
ただしピントを合わせやすくするためのレッドフィルターなどがあるのは知ってるしこれもそのようなものかもしれない。




軍艦部の文字のアップ。
文字部分が盛り上がってるのがわかると思う。
これが銀象嵌。
物によっては滲んでしまっているものがあるが、このDⅡは驚くくらいキレイに残っていた。
実はカメラを買うときに一番期にしたのがこの文字だ。

中身は他のパーツで修理できても、ガワの状態はどうにもできない。
グッタペルカを修復するくらいでボディの傷やスレ、凹みなどはそのまま使うしかないのだ。
もちろんそれも年代を重ねてきたことによってできた勲章とも言えるかも知れないが、どうせ高い金払って買うなら私はキレイなもののほうが良かった。

さてここまでDⅡについて色々書いてきたがここでバルナックライカの歴史について振り返ってみよう。
1925年に市販化されたバルナックライカも今年で89年。
来年には90周年を迎える。
ライカは販売されてからこれまでずっと通し番号をつけており、その番号を見ることでどの年に販売されたかも分かる。

私のDⅡは1932年製。
DⅡの初期生産モデルだ。

ではそれまでのモデル、そしてそれからのモデル。
バルナックライカはどのように進化していったのか見てみよう。



バルナックライカの歴史

-ウルライカ- 1914年
バルナックライカの試作品。
バルナックライカの生みの親、オスカー・バルナックが個人的に作製したバルナックライカの原型のカメラである。
2台が作成され、そのうち1台は現在はライツ社に保存されている。


-0型 ヌルライカ- 1923年

ヌルライカと呼ばれる製品版を作る前に作成されたプロトタイプのライカ。
エルンスト・ライツ社の社長、エルンスト・ライツ2世がオスカー・バルナックの作ったウルライカに着目し、社内の反対も押し切り量産化販売することを決定した。
その際、量産化するために試作されたものである。
全部で25台試作され、うち現存が確認されているものは12台。
そのうちの1台が2012年にオークションに出て、カメラ市場最高額2億2300万円で落札された

-A型(Ⅰ型)- 1925~1931年

ライツにとって初めての量産型カメラ。
レンズは固定式、シャッター速度は1/500。
距離計も内蔵しておらず、とてもシンプルな形をしている。
ライツ社ではⅠ型としているが、アメリカではA型と呼ばれ日本もそれに習ってA型と呼ばれている

-B型(Ⅰ型)- 1926~1930年

Ⅰ型のバリエーションモデル。
アメリカではB型と呼ばれている。
Ⅰ型にコンパー(レンズシャッター)を搭載したモデルであるが、当時は人気がなく製造台数も少ない。
そのため現在ではレアなモデルである。

-C型(Ⅰ型)- 1930~1933年
同じくⅠ型のバリエーションモデル。
A型をレンズ交換式に改良したモデルで、このカメラからライカスクリューマウント(Lマウント)規格が採用される。
レンズ交換式になり、使い勝手も上がったが初期のモデルはカメラごとにフィルム面とレンズマウントの距離が異なっており、カメラとレンズをペアで調整・販売していた。
しかしこれはあまりにも不便ということで、フィルム面とレンズの距離を28.8mmに統一。
そして統一された後のマウントにはボディマウント12時に0が刻印されており、それはそれ以降のモデルでも見ることができる。

-DⅡ型(D型、Ⅱ型)- 1932~1940年
距離計を搭載した初めてのバルナックライカ。
ライツではⅡ型と呼ぶが、アメリカではD型と呼んでいる。
そして日本では両者を併せて「DⅡ」と呼ばれている。
今回紹介したのもこのモデル。

-ライカ・スタンダード(E型)- 1932~1950年
DⅡから距離計を取ったモデル。
形はほとんどC型と変わりがないがC型生産終了に代わって販売された。


-DⅢ型(F型、Ⅲ型)- 1933~1939年
DⅡにスローシャッターが搭載された。
これからのモデルは基本このDⅢの改良となる。
ライツではF型、アメリカではⅢ型と呼ばれていたが、日本ではDⅡの上位機種ということでDⅢと呼ばれている。
DⅡと平行して発売されていたが、その後高速シャッターが搭載されたⅢaが販売されたため販売終了はDⅡより早い。

-Ⅲa型(G型)- 1935~1948年

DⅢに1/1000秒の高速シャッターを追加したモデル。
戦前ではこのモデルが最も製造台数が多い。
外見はほとんどDⅢと変わりない。
これ以降のモデルはⅢ型のマイナーチェンジモデルと考えてもいいだろう。

-Ⅲb型- 1938~1941年

ファインダーブロック部をダイキャスト形成に変え、組立精度の向上を計ったモデル。
性能はⅢaと変わりない。
ただし、戦争突入のため製造期間が短く販売期間が短い。

-Ⅲc型- 1940~1951年
戦中から戦後にかけられて作られたモデル。
戦争末期のものは質も悪い。
Ⅲbとの違いはフレームもダイキャスト形成によって作られ戦争中で優秀な人材がいなくなっため、精度の高い部品を作る必要があった。
このⅢcはメッキが剥がれたものも多く見られ、出来の悪さが目立つものも多い。
私が以前持っていた戦前モデルも操作感は何か引っかかるような感じがして馴染まず結局売ってしまった。
戦前モデルはレアなものなのだが、使ってなんぼのカメラで使ってて気分の乗らないのはやはり辛い。

また、Ⅲc以降は廉価モデルが存在し、それぞれ「スローシャッター」、「距離計」が抜けていく。
「スローシャッター」のないものはⅡc
「スローシャッター」、「距離計」がないものはⅠc
といったように数字が減っていくのが特徴。
このナンバリングはM型初期まで続き、ライカのフラグシップモデルは「3」、そして機能を削いだモデルは「2」、「1」となるのだ。



-Ⅲd型- 1939~1947年

戦争突入のおかげで超短命。
私も見たことがない、セルフタイマー付きのⅢcである。
見た目は次のモデルであるⅢfと殆ど一緒らしい。


-Ⅲf型- 1950~1957年

戦後になってからのモデルで作りも良い。
バルナック型ライカの中では一番多く製造され、質も良いため初めてのバルナックライカとしてはオススメの1台である。
Ⅲeを飛ばしてのⅢfだがこのfは「フラッシュ」のfであり、フラッシュ用のシンクロ接点が付けられたモデル。
またセルフタイマー付きのものとそうでないものがある。
個人的にはセルフタイマー付きのごちゃごちゃした感じがとても好み。


-Ⅲg型- 1956~1960年

最後のバルナックライカ。
M型が販売され、バルナックライカは販売終了かと思われたがM型に馴染めない人ようにバルナック型のボディにM型のファインダーを搭載したある意味ニコイチカメラ。
個人的にはスマートなバルナックライカの外観を潰し、使い勝手のいいM型の操作感をなくしたこのモデルはなんとも中途半端すぎてダメだ。
ただし、新しいこともありキレイなモデルも多いため値段は高い。
そして使い勝手のいいバルナックライカとして人気も高い。


というわけでこれがバルナックライカの歴史である。
現在私が持っているのは「DⅡ」、「DⅢ」、「Ⅲf」である。
使い勝手で見るなら「Ⅲf」。
コレクターズアイテム的な意味で気に入ってるのは「DⅢ」、「DⅡ」だろうか。
ボディに関してはもう十分である。
あとはじっくりレンズの方を集めていきたい。

なんせ今はボディがレンズよりも多い。
ライカのレンズはかなり人気があり、最近ではマウントアダプターを使うことでミラーレス一眼カメラで使用出来るのでますます人気はうなぎのぼり。
値段も落ち着いたかと思ったら上がっている。
良いボディと巡り会えたのだから、良いレンズともこれから巡り会えることを望みながら、今はボディをじっくりと堪能しておこうか。


ゆう
ゆう

旅行とカメラが趣味のゆうが撮影した写真をただただ紹介するだけのブログです。頑張って更新していきます。

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