2014/05/01

ドラえもんと私 その2

前回からドラえもんについていろいろ話をしてきたが、今回もドラえもんネタで一つ書いていこうと思う。
私にとってドラえもんとはおそらく初めて手にした漫画であり、子どもの頃から何度も見返してきたくらい大好きなそんな思い出の作品だ。

あれは私が小学校に入る前か入った時だったと思う。
私と兄と家の2階の一室を子ども部屋として使っていたのだが、私も小学校に上がるということで勉強机を買い、隣の少し大きめの部屋に荷物を移したときのことだ。
部屋に入ってすぐのところに天井まで届く大きな本棚があり、そこのちょうど下の方、小さな子どもでも手の届くところにドラえもんの原作コミックが置いてあった。



当時の私たちはそれを熱心に読んだ。
42巻か43巻くらいまであっただろうか。
それを1日朝から晩まで読み、2日間かけて全巻読破したと思う。
まだ幼く漢字なんて全然知らない。
でも絵とシチューエーションから想像して、キャラが一体何を言わんとしてるのかは分かったのだ。


大きくなるに従って自分が漢字の読み方を間違えてたなと気づくのもまた楽しみの一つだった。
そうやって、小学校の間は何度も何度も読み返した。


アニメのドラえもんも大好きだった。
テレビでやってたのももちろんだし、ビデオに録画してるのを見るのが暇な時の時間の潰し方だったと思う。


今も覚えていることがある。
休日かそれとも体調が悪くて休んだか。
確か小学校の低学年くらいのときに「ドラえもん のび太と雲の王国」を午前から午後にかけて3度ほど連続で見たことだ。
なぜ私がそう何度もテープを巻き戻し、雲の王国を見たのかは知らないが何か引かれるものがあったのかもしれない。




大長編の原作コミックも色々あって、映画も見るけど原作も読んでみるというなんとも贅沢な楽しみ方を昔からやっていたものだ。
漫画は自分のペースで読めるし、同じシーンを何度も気軽に見ることができる。
それに藤子不二雄先生の絵は子どもにとっても優しく、それでいて力強く、とても読みやすい絵だから私は好きだった。


そんなわけで昔から大好きだったドラえもんであるが、そんなドラえもんの大長編は通常の短編では見れなかった各キャラの個性が出てきていてそれもまた面白いと思う。


特にその中でも大長編になると打って変わって活躍し、みんなを引っ張って行ってくれる縁の下の力持ち的なキャラがジャイアンだと思う。



原作では大きな体で力持ち、乱暴者で傍若無人。
いつもみんなに迷惑をかけているようなキャラだ。


だがそんな彼も大長編では頼りになるリーダー的な存在になるのだ。
特に皆が迷った時でもスパっと意見を言い皆の迷いを断ち切らせたり、誰かがピンチになったときにはまっさきに駆けつける。

例えば一番初めの大長編「のび太の恐竜」では未来から来た無法者たちがぴーすけを狙って様々な嫌がらせをしてきて、更にぴーすけを渡せば未来に返してやると言ったあとのシーン。
みなタイムマシンが壊れて元の世界に戻るために、危険を犯して冒険してきたわけでもう体力も精神も限界なわけだ。
そんなとき、未来に戻してやるという甘い言葉をかけられたら迷ってしまうのも仕方がない。
だが、のび太は当然ぴーすけは相手に渡したくないという。
ドラえもんは皆の安全を第一に考えてるし、スネオはただ帰りたいと反論する。


そんなときジャイアンが一言。

おれは歩く!!のび太といっしょにな!!



このシーンが衝撃的すぎて忘れられなかったのだが、実は映画ではこのセリフはでてきていない。
また、うちにある昭和55年に発刊されたカラーコミックスでは、グッと考えこんで「おれ・・・歩いてもいいぜ。日本まで。」と言う。
恐らくそれ以降の漫画で変更されたこのシーンこそこれからの大長編におけるジャイアンの位置づけを決めていった気がする。


誰かが迷った時、誰かが困ったとき、誰かが助けて欲しい時。
そんなときジャイアンが有無を言わさず「やろうぜ!」と皆を扇動するのだ。


2作目のび太の宇宙開拓史でもラストでのび太がドラえもんと二人で悪党たちと戦いに行ったと聞いた瞬間、スネオが止めるのも構わず我先にと二人の元へと駆け出していった。
コーヤコーヤ星と地球を繋ぐ空間が離れ、危ない状態になっていても「のび太にできたんだ!えいっ!」という感じで馳せ参じ、地元野球チームジャイアンツのエースらしくバッティングで敵戦艦を撃ち落とすなど大活躍をしたのだ。
親友が危ない目にあってるんだ!黙ってみてられるか!という彼の信念がこの作品でも出ていたと思う。


その無謀さが全面に出ていたのが3作目ののび太の大魔境だろう。

冒険の最初の頃に皆を守るという役目を全うできず、その反動で秘密道具を全部置いていけと命令してしまったために、仲間を危険な目に合わすことになってしまう。
途中からジャイアンは無口になり、そして危険なことを自らすすんでやるようになった。


個人的にこのシーンはドラえもん映画史上でも屈指のシーンだと思う。
敵の攻撃から逃れるために森へ逃げ込んだはいいが、そのまま木のうろで隠れてていてはやられてしまう。
「こんな冒険に巻き込んですまなかった」とペコが飛び出していくが、そのまま止めることもできずに見送るドラえもんたち。
そこでジャイアンが


ペコだけじゃどうにもならん。おれもいくぜ。


とペコの後を追っていくのだ。
そしてそれともに流れる武田鉄矢さんの唄。


だからみんなで

作詞:武田鉄矢


だからぼくは 弱虫なんだ
心の中を さがしてみたけど
だって ぼくの勇気なんか
ぜんぶだしても これだけなんだ

そうだきみも さがしてくれよ
心の中の 少しの勇気を
だって ぼくときみのをあわせたら
勇気が すこし大きくなったろう

きっと みんなの心をあわせたら
きっと ぼくは弱虫じゃないよ
きっと みんなと強くなれるよ


この歌詞の弱虫はきっとジャイアンであり、ドラえもんであり、のび太であり、しずかちゃんであり、スネオなんだろう。
特に一番いつも威張り散らしてるジャイアンが、最初獰猛な生き物に襲われて逃げてしまったことは彼にとってこの上ないカッコ悪いことだったのだろう。
そんな彼が、皆の呼びかけも無視して一人戦場に向かったペコの元へ。
当然、ペコも何で来たんだというふうに反論する。
ただ、ここのやり取りはすべてセリフなしなのだ。
敵の攻撃の爆音のなか、必死に止めるペコと反論するジャイアン。
そして最後は折れて一緒に行くことにするペコ。


2人勇ましく歩いていると後ろからなんとドラえもんたちまで付いてくる。



ペコとジャイアンは当然反論し、そこへ爆撃が!
みんな無事かと辺りを見回すと、砂埃のあとから現れたのはスネオ。
少し照れたような、申し訳ないような顔をして全員が集合する。


とここまでが映画ではセリフなしで流れる。
一体彼らがどんなやり取りをしたのか、どんな言葉を交わしたのかは分からない。
だが、何を言っても、どんな態度をとっても結局みんないっしょなのだ。
誰かを見捨てることはできない。
それがドラえもんメンバーなのだ。


ここの演出はぜひ、音のある映画で見て貰いたいと思う。



4作目ののび太の海底鬼岩城でも、海底人に捕まらないように逃げ出すシーンで、ドラえもん一行を捕まえに来た海底人が逆に襲われているときに、ジャイアンは真っ先に飛び出した。。



彼は後で自分の軽率な行動を責めるが、誰も彼の行動を責めることはなかった。
恐らく皆、海底人を救いたいと思っていたのだ。
ただ、救えば今度は自分たちが海底人に捕まる。
皆がそんな葛藤の中ジャイアンだけはそういう理屈抜きに、自分を救ってくれ、一緒に生活し、同じものを食べた友を助けるために勝つ見込みなどなくとも飛び出したのだ。


そんな彼の無謀さは時に危なく、時に心強い力となるのだ。


5作目ののび太の魔界大冒険ではラストのボスを倒す役目はジャイアンだった。
宇宙開拓史と同じように野球チームのエースということで、銀の矢を相手に投げ無事倒すことができた。
しかし、話に聞けば新ドラえもんではこのシーンが変わっているらしい。
う~ん、個人的にはジャイアンが倒すからこそ価値があったと思ったのだけど、新しいドラえもんを作った監督的には主役ののび太が倒すのがいいと思ったのかな?


そういえば、のび太の恐竜を見た時も思ったけど基本的に新ドラえもんはのび太とドラえもんが全面的に出てきすぎな気がする。
せっかくの大長編なんだから他のキャラをもっと前に出してもいい気はするのだが、どうなのだろ。


まぁ、長くなったんで今回の話はこのへんで終わりにするけど私は大長編ドラえもんのジャイアンが大好きだ。
彼のいつもと違う行動にヒヤヒヤさせられ、ドキドキさせられ、ワクワクさせられる。
そんなことを思いながら、また古い映画を見返そうかなと思う今日このごろなのであった。





ゆう
ゆう

旅行とカメラが趣味のゆうが撮影した写真をただただ紹介するだけのブログです。頑張って更新していきます。

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